「Searchable Log of All Communication and Knowledge(すべてのコミュニケーションと知識の検索可能なログ)」の頭文字を取って命名されたSlackは今や、50万社以上の企業で社内コミュニケーションツールとして採用され、うち約18%が有料版を利用している。導入企業にはフォーチュン100に入る約65社も含まれる。
Slackは基本機能を無料とし追加機能を有料化する「フリーミアム」モデルで大成功を収めており、売上高は2017年の1億520万ドル(約113億円)から2019年には4億60万ドル(約430億円)に達する見込みだ。Slackはマイクロソフトなどの資金豊富で野心的な競合が存在する分野で事業を展開することの難しさも認めている。こうした競合は、市場シェアを確保するためなら収益を犠牲にすることもいとわない可能性もある。
Slackをよく理解するためには、創業者のスチュワート・バターフィールドについて知る必要がある。かつて私が熱愛したアプリ「Flickr」を立ち上げた彼は、複雑なアイデアを実にシンプルな方法で現実のものにする能力を持っている。人はFlickrやSlackを使ってみると、自分は今までこのツール無しでどうやっていけていたのか不思議に思うだろう。
2005年2月、Flickrがヤフーに買収されると、バターフィールドはこのサービスが生ける屍と化していくのを目の当たりにして、Slackが買収されて死にゆく姿は絶対に見たくないと決め、マイクロソフトやアマゾンからのオファーを断りSlackをユニコーン企業へと成長させた。さらに、株式を公開して多くの投資家を儲けさせ、ビジネスコミュニケーションの標準ツールの地位を確立すべく、企業価値を高めた。
Slackはまた、柔軟性も高い。別タイプのサービスで接続が可能なものも多く、タスク自動化の方法も多く用意されている。さらに、組織内のコミュニケーションを円滑にする多くの機能が備わっている。