アプリの調査企業Sensor Towerは、魔法同盟の米国と英国での公開初日のダウンロード数が40万件、売上は30万ドル(約3200万円)と試算した。これは通常のゲームアプリであれば順調な出だしだが、ポケモンGOと比べるとかなり見劣りする。
ポケモンGOは米国のみで初日に750万ダウンロードを記録し、売上は200万ドルだった。また、ポケモンGOはアップストアで初日に売上ランキング1位を記録したが、魔法同盟は104位だった。
魔法同盟の初日のダウンロード数は米英の合計で、ポケモンGOが米国のみで達成した件数の約5%でしかない。また、売上に関しては15%程度に留まった。ナイアンティックがどれほどの数字を予測していたのかは不明だが、大ヒットの再現を狙っていたとしたらその目論見は大きく外れたことになる。
ポケモンGOと魔法同盟の間には、どんな差があるのだろう。まず、いえるのはポケモンGOの盛り上がりが非常に異例のものだったことだ。同じデベロッパーのナイアンティックの作品でも、その成功を再現するのはかなり難しい。
次に指摘できるのが、魔法同盟はポケモンGOよりも複雑度を増したゲームであることだ。ポケモンGOは基本的にスマホを持って歩き回り、ポケモンを捕獲するだけの内容だった。
それに対し、魔法同盟では「大災厄」と呼ばれる事件が起き、魔法界のさまざまなものがその外部に散らばってしまった世界を前提としている。プレイヤーは魔法使いとなり、散らばってしまった「ファウンダブル」を歩いて探し、回収していくことになる。このゲーム構造に、やや飲み込みにくい部分がある。
もちろん、時間をかけてプレイするうちに疑問点は解消されていくが、ポケモンGOがそもそもゲームをベースとしているのに対し、魔法同盟は小説から始まり映画シリーズとなったハリー・ポッターの派生的コンテンツだ。また、映画や小説が人気のピークを迎えた時期も、ポケモンGOよりもかなり古い時代のことだった。
ハリー・ポッターのゲーム版が、ヒットになる可能性はまだ十分あるが、それがポケモンGOに匹敵するものになるかというと、難しいと言わざるを得ないだろう。しかし、魔法同盟が着実なスタートを切った事は確かであり、筆者個人はこのゲームがポケモンGOに匹敵する完成度を持つARゲームだと考えている。魔法同盟の人気がじわじわと高まることを期待したい。