そうわかってはいても、口紅を試すのは面倒だ。百貨店に赴く時間がない、ドラッグストアやバラエティショップのテスターでは衛生面が気になる、鏡が小さい、一度試したリップを完全に落とすリムーバーはないかもしれないし、あったとしても時間がかかる──。
そんな課題をクリアし「購入前に色を試したい」要望に答えるサービス「バーチャルメイク」がアマゾンジャパンから発表された。
「バーチャルメイク」は世界最大の化粧品会社ロレアルグループ傘下のモディフェイス(カナダ・トロント)の人工知能(AI)と拡張現実(AR)を使った技術により、リップ製品の色を分析、画面上の顔に投影できるサービスだ。
2007年に創業し、2018年にロレアルに買収されたモディフェイスは、美容業界向けにAR試着機能を開発。200以上の出版物と30以上の特許を持つという。
モディフェイスのホームページでは口紅だけでなく、アイメイクやヘアカラーを施術、肌のシミを取るととどんなイメージになるかわかるシミューレーション機能を公開。同ビューティAR SDKは特許取得済みだ。その他にもARミラーなどビューティーテックを牽引する技術を有する。
自分の写真や動画に口紅を「試し塗り」
6月5日にアマゾンに導入された「バーチャルメイク」は簡単に使える。スマホでアマゾンの対象商品のページを開いて「試す」ボタンを押し、写真をアップロードすると自分の顔にリップ製品を「試し塗り」できる。他の色をタップすると一瞬でリップを付け替えられる手軽さは、ARならではの斬新な体験だ。
色調整のボタンを動かすとリップを薄付きにしたり、濃いめにつけるなど色の濃淡調整が可能。リップラインを大きめに描くなどメイクの仕上がりを自在に操ることができる。
バーチャルメイクサービスに保存されているモデル写真にリップの着せ替えすることもできるが、自分自身の唇の印象を変える方が面白いだろう。化粧品の色合いは赤、ピンク、オレンジ、ベージュなどの似通った色味の中でも微かな違いがあり、しっくりくる色を探すのは至難の技。一辺倒になりがちなリップメイクを瞬時に変化させ、気の赴くままに色を纏い、購入するまでに数分と掛からないサービスとなっている。