パリのランドマーク、エッフェル塔を真下から臨む。空と緑に縁取られたそれは、さながら絵画のようだった。
FONDATION LOUIS VUITTON
芸術と文化の特別な場所
2014年、パリの北西、ブローニュの森の中に出現したルイ・ヴィトン財団の美術館、フォンダシオン ルイ・ヴィトンは斬新なデザインが一際目を引く。建築家のフランク・ゲーリーが手がけたガラスを基調とした唯一無二なデザインは、それそのものがアートとして光を放つ。現代アートを広めることをコンセプトとした当美術館にはヨーロッパはもちろん、アメリカやアジアなど世界中から優れた作品が集結する。ここにいると、特に日本の現代アート市場の活気のなさに悲しくなってしまう。日本人アートコレクターたちは海外で評価されたアーティストを買いあさり、国内で活躍しているダイヤモンドの原石には目もくれない。彼らが日本人アーティストに目をやるのは、海外で評価された後という、なんとも残念なケースが多いのが現実。有名、無名関係なく、素晴らしいものは素晴らしい!そう堂々と言え、そこに相応の価値を見いだせるようになりたいものだ。
STROLLING ABOUT PARIS
ルーヴル美術館とオテル・リッツ
パリの夕暮れ、閉まりかけのルーヴル美術館。普段は観光客でごったがえすこの場所も、この時間は閑散としている。「また明日ね」ルーヴルのそんな声を聞きながら、心の中でララバイを口ずさむ…その足でパリ随一のホテル、オテル・リッツへとアペリティフへ向かった。「ココ・シャネルやヘミング・ウェイが定住していたんだって」友人がそう言っていたのを思い出しながらエントランスをくぐると、そこは自分が場違いなのではと思うほどの煌びやかな世界が広がっていた。お行儀よく飾られている廊下の調度品一つとっても、”本物”を感じさせる風格なのだ。一朝一夕では到底真似できないこの世界観に圧倒されながらも、アルコール度数の強いダーティー・マティーニを飲み干すころにはすっかり同化した自分を見いだした。
リッツ内、バー・ヘミングウェイのダーティー・マティーニ。女性には白いバラが添えられるという心遣いがなんともにくい
リッツ内、バーヘミングウェイ向かいのバー、ヴァンドームは豪華な木製家具が美しい
重厚感漂うリッツのライブラリー
TAKE A TRAIN
パリ発の小旅行、ディジョンへ
意外と知られていないかも知れないが、パリは交通が非常に便利な街だ。パリ市内を網羅するメトロはもちろん、近郊へはリヨン駅からTGVなどの列車が頻繁に発着し、気軽にパリを拠点とした小旅行を楽しむことができる。シャンパーニュ地方やブルゴーニュへも日帰りでいける気楽さ、小生がパリジャンを最も羨む点である。ということで、パリに滞在中、思い立ってブルゴーニュへ2泊3日の冒険をすることにした。ブルゴーニュへのアクセスはリヨンからディジョン駅までタリスという電車で一本、3時間弱で、そこから車でブルゴーニュをまわることになる。ちなみにリヨン駅構内には王宮かと思うほどに豪華なカフェレストラン、ル・トラン・ブルーがあり、その見事な内装は電車待ちの苦痛から我々を解き放ってくれること間違いなし。エスプレッソとチョコレートをいただきながら旅の予習をするに最適だ。
HEAVEN FOR BACCASES
ワイン愛好家の聖地・ブルゴーニュ
どこまでも広がる青々とした葡萄畑、ここはロマネコンティなどで有名であり、世界で最も高級とされるワインリジョン・ブルゴーニュ! ちょうど収穫期を迎えた畑には完熟した葡萄がたわわに実る。ブルゴーニュの人々と会話をし、共にワインを楽しむにつれ、彼らのプライドを肌で、味わいで実感する。彼らが先祖代々守ってきた畑とワインづくりに心からの敬意を評したいと混じり気なしに感じさせられるのだ。そんな敬意を込めて「Sante!(乾杯)」。エレガントで複雑な味わいは、まるで古い本を読み始めるときのワクワク感を思い出させてくれた。
CATHEDRAL IN DIJON
しこたまワインを堪能した翌朝、ホテルのあるディジョンの町を早朝ラン。まだ眠っている町を走るのは実に爽快だ。教会マニアの小生は、朝ランついでにいつも美しい教会をさがし、そこへ足を踏み入れることにしているのだが、今回はサンベニーニュ・ド・ディジョンという大聖堂に出会う事ができた。ゴシック様式が荘厳で美しい様相を呈するこちらの大聖堂、13世紀に建てられたのだとか。人っ子一人いない礼拝堂はそんな歴史を静かに伝え、朝の祈りをより神聖に彩ってくれたのだった。
ADVENTURE KING
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