ウィーン少年合唱団、日本の新しい時代「令和」を祝う

歌声を披露するウィーン少年合唱団とカニン先生 写真=なかのかおり

歌声を披露するウィーン少年合唱団とカニン先生 写真=なかのかおり

2019年は、日本とオーストリアの国交が始まって150年。6月16日まで、ウィーン少年合唱団が日本各地で演奏しています。レパートリーには、「いきものがかり」の歌や、令和を祝福する曲も。東日本大震災後はチャリティ公演を開き、応援曲を歌うなど被災地に心を寄せてきました。 日本から飛び込んだ団員もいて、奮闘しています。
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500年の歴史、モーツァルトとも活動

合唱団は、今から500年以上前に生まれました。ハプスブルク家出身の皇帝が、王宮礼拝堂のために聖歌隊をつくりました。その中に6人の変声期前の少年による聖歌隊があり、これが原点となりました。少年聖歌隊と活動した作曲家には、モーツァルト、ブルックナーがいます。シューベルトは団員で、ハイドンも参加。現在、彼らの名前を冠した四つのグループで活躍しています。

第一次世界大戦後、ハプスブルク家が崩壊すると少年聖歌隊は解散せざるをえなくなりました。最後の宮廷楽長だった神父は、私財をなげうって少年合唱団を創設。オーディションに合格した少年たちで1924年にウィーン少年合唱団が始まりました。教会音楽だけでなくオペレッタや民謡などもレパートリーにしてコンサートを開き、1955年に初めて来日しました。

合唱団には現在、10歳から14歳までのおよそ100人が所属しています。ウィーンで行われるコンサートや王宮礼拝堂でのミサへ出演するほか、それぞれの団員が年間9~11週間を演奏旅行に使い、 世界中を訪れます。
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震災チャリティにも尽力

東日本大震災後の日本に、心を寄せていることでも知られます。2011年は、ウィーンで復興チャリティ公演を開き、収益金が被災地の学校に贈られました。その後の日本公演では「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」「花は咲く」など、日本を元気づける曲を披露しています。今回の来日中、福島県で地元の合唱団とベートーベンの 「第九」を歌って交流しました。

今年は、日本の新しい時代を祝う曲を用意しました。「ビューティフル・ハ ーモニー」と訳されている元号「令和」にちなみ作られた「内なる平和(Peace Within)」という曲は、「花は、あなたのうちに咲く。花のところまで行かずとも、その美しさを見つめながら平和を祈ってほしい」との願いが込められています。上皇・上皇后陛下が作った曲も演奏します。
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文=なかのかおり

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