グローバル・ファッション・アジェンダ(GFA)と持続可能なアパレル連合(SAC)はこのほど、ボストンコンサルティンググループの協力の下、報告書「Pulse of the Fashion Industry 2019 Update(ファッション業界の鼓動 2019年最新情報)」を作成。同報告書は、ファッション企業の持続可能性目標とその取り組みを評価するため、パルスインデックスと呼ばれる評価システムを使用した。ファッション業界の全体スコアは2017年、6ポイントに上がったものの、2018年にはわずか4ポイントまで下がっている。
ファッション業界が非常に多くの廃棄を生んでいることがデータから浮き彫りになっていることを考えると、エコ推進活動が減速していることは残念なことだ。米環境保護庁(EPA)は2016年時点で、米国内の全固形廃棄物の9%以上がゴム・革・布地だと見積もっている。
同報告書は「問題はもはや、持続可能な商慣習が必要かどうかではなく、消費者が責任ある行動を取らないブランドから商品を購入しなくなるまでどのくらい時間がかかるかだ」と述べた。「ファッション業界は、消費者がこの動きを主導するのを待っていられない。持続可能な業界にするために今大胆な動きを取るのは、ファッション界のリーダーでなければならない」
現代の消費者も、ファッションブランドの持続可能性の取り組みに注目している。今回の報告書によると、サステナビリティが自分にとって極めて、あるいは非常に重要なものだと考えていた消費者は75%に上った。
さらにこうした消費者は、サステナビリティーに注目しているファッションブランドからより多くの商品を購入することで自分たちの懸念を表明している。同報告書によると、消費者の33%以上は環境に対し公式な立場を表明しているブランドを支持するためブランドを変更したと答えている。さらに買い物客の50%は、将来、環境に優しいファッションブランドを支持するためブランドを切り替えることを計画している。
しかし、ここには問題がある。電子商取引専門家トレーシー・ウォレスは、持続可能なファッションブランドの価格が平均的な消費者の予算を超えており、ジェネレーションZ世代など若い世代は特に、持続可能なファッションの習慣を持ちづらいと指摘した。
ウォレスは「持続可能なファッションの規模は現在、必要とされるレベルに達していない。持続可能な方法で物を購入することは、ライフスタイルインフルエンサーやセレブのものとして提示されることが多い」と述べ、「まるで手が届かないもののように感じられる。サプライチェーンの問題があるのは分かるが、それを解決すべきだ」と語った。