ギャップ傘下のスポーツウエアブランド、アスリータ(Athlete)や、インターネット販売が主流の衣料販売企業エバーレーン(Everlane)などのブランドは、サステナビリティの取り組みを継続し、発展を続けている。しかし、変革を望むファッション小売業者の大半は、より持続可能な慣習を確立する上で障壁を抱えている。それは、サプライチェーンの問題に限らない。
ファッション業界でサステナビリティ実現に向けた成長が減退しているとはいえ、障壁に負けず環境に配慮した取り組みを強化し、正しい方向へと歩みを進めているブランドは存在する。
スポーツウエアブランドのヴィヤヤーマ(Vyayama)は、より持続可能な慣行を取り入れると、プロセスにより長い時間がかかる場合が多いため、ゆっくりとした商品開発と発売スケジュールを受け入れる必要があると語る。
同社の創業者レイチェル・バウアーは「サステナビリティを確約した場合、開発や調達、マーケティングには間違いなくより多くの時間がかかることが分かった」と述べた。「当社の基準を満たす、持続可能な特別注文生地を開発するために1年以上を費やした」
他の企業にとっては、思い切って変革を導入する前にサステナビリティーの取り組みを補うマーケティングの切り口を見つけることが鍵だった。サーフィンウエアブランドのボディー・グラブ(Body Glove)は、有名サーファーとのパートナーシップを活用し、エコな活動を推進している。
また、ファッションブランドのアウターノウン(Outerknown)にとって、環境に配慮した取り組みは重要なブランドの柱だ。同社は会社の大規模なサステナビリティの枠組みを公表するだけでなく、非営利団体の公正労働協会(Fair Labor Association)から認定されたパートナーと協働することを確約している。
同社のマーク・ウォーカーCEOは「持続可能性のある方法で物を作るには時間がかかるというのが現実だ。従来の方法で衣料を作るのと比べ、課題もコストも増える」と述べた。「人はわくわくできる物を購入し、『サステナビリティ』を買うわけではない。人が買いたいと思う商品を作り、それを高い意識を持ってデザイン・製造するのがコツだ」
またウォーカーは、消費者の環境意識の成長とともに現在、顧客行動にはより広範な変化が起きていると述べた。それは、ファストファッション離れだ。消費者はファッションアイテムをより慎重に購入するようになり、より長持ちして用途が広い、質の良い商品を求めている。
問題は、他のファッション企業もこれに気づき、消費者の好みの変化に合わせるため持続可能な慣行を強化するかどうかだ。そうなることはほぼ確実に期待できるだろう。