カード決済サービスを提供するペイメントセンス(Paymentsense)がまとめたこのランキングでは、英国は起業家にとってさまざまなメリットがある一方、新企業の5年生存率が非常に低いことが示された。
起業に最適な国とされたのは米国だった。欧州ではベルギーとアイルランドが上位に入っている。トップ5には他に、カナダとフランスが入った。
同調査は起業家にとっての各国の魅力度を一連の基準に基づいて測り順位づけしたもので、欧州・北米27カ国の成人人口や雇用率、平均年収、生活費、スタートアップ企業の生存率を考慮した。
英国が他国より劣っていたのは、この最後の基準だ。ペイメントセンスの調査では、新たに立ち上げられた会社のうち、起業から5年後も生存する会社はわずか43%だということが示されている。一方、米国での5年生存率は51%、ベルギーでは64%、アイルランドでは80%だ。
英国は他の評価基準では比較的良い結果を出した。成人の雇用率は約75%で、これよりも高いスコアを記録した国は一握りしかない。ただ、英国の生活費は他国に比べて高く、平均年収は比較的低かった。
この調査結果は、英国での起業活動向上に取り組む政策立案者らを落胆させるものだ。起業促進では近年大きな進歩が見られ、スタートアップの数は現在、年平均50万ほどだ。しかし、多くの企業が長期的で持続可能な業績を出せていないことに関しては根強い懸念もある。また、英国のスタートアップエコシステムを批判する人たちは、成長中の企業の多くが資金の確保に苦しんでおり、ポテンシャルを発揮できないでいると指摘している。
ペイメントセンスの調査は、国ごとの経済成長率などスタートアップの成功に関係する他の要素を考慮していない。米経済が欧州と比べて堅調なことも、米ベンチャー企業の成功可能性を高めている要因かもしれない。
ただし公共政策については、英国では中小企業に対するサポート体制があり、成長中の企業に対する減税やさまざまな支援策が用意されている。
英国で規模を拡大する企業の数は近年増えたものの、新規事業の生存率は残念なものだ。ペイメントセンスの調査は、起業家支援の環境整備に向けさらなる努力が必要かもしれないことを示している。