USPSが自動運転トラックを輸送に活用するのはこれが初となる。サンディエゴ本拠のTuSimpleは、トラック輸送のオートメーション化を目指す企業で、今年2月には9500万ドル(約106億円)の資金調達を完了。企業価値は10億ドルとされ、ユニコーン企業の仲間入りを果たしていた。
トライルは2週間に渡り実施され、郵便物を積載したTuSimpleの自動運転トラックは、フェニックスとダラス間の約1600キロの道のりを5往復する。車両にはセーフティエンジニアとドライバーらが同乗し、運行状況をモニタリングする。TuSimpleがUSPSから得る運送費用は開示されていない。
アルファベット傘下のウェイモは既にフェニックス郊外でロボットタクシーサービスを、始動させた。GMのクルーズや、Zoox、ウーバーやリフトらもオンデマンドの自動運転配車サービスの立ち上げに向けて動いている。しかし、都市部の複雑な道路環境でロボットタクシーを実用化するまでには、まだかなりの年月が必要になりそうだ。
対照的に、ハイウェーの走行に特化した長距離トラックの自動運転化は、ドライバー不足にも後押しされ、急速に商用化が進むことが期待されている。
「ロボットタクシーの活用が始まる前に、人々の郵便物や荷物が自動運転トラックで輸送されるのはエキサイティングなことだ」と、TuSimple創業者の侯暁迪(ホウ・シャオディ)は話す。上海交通大学でコンピュータサイエンスを学び、2014年にカリフォルニア工科大学でPh.Dを取得した彼は、同社のプレジデントとCTOを兼任している。
「USPSとの取り組みで当社の自動運転システムの信頼性が確認でき、技術開発と商用化に向けた動きを加速できる」
TuSimpleは昨年、自動運転システムを搭載したKenworthやNavistarのトラックで匿名のクライアントの貨物の輸送実験を行ってきた。同社は来月までに50台の自動運転トラックを用意し、2019年の後半には月あたり100万ドルの売上を目指している。
中国では「海上コンテナ輸送」を実施
各車両にはレーダーやライダーなどのセンサーを組み合わせた機器が装備され、最大1000メートル先まで見通せるコンピュータビジョンを搭載している。システムには同社の出資元のエヌビディア製品を採用している。
自動運転トラック分野での競合としては、昨年アトランタで小規模なテストを実施したウェイモや、Ike、Starsky Robotics、Kodiak Roboticsなどの企業があげられる。また、弱冠23歳でセコイアキャピタルなどから累計4700万ドル(約53億円)を調達した、アレックス・ロドリゲスが運営するEmbark Trucksも大きな注目を集めている。
TuSimpleは米国では長距離トラックの自動化に専念している一方、中国では「図森未来」という社名で、海上コンテナなどの貨物をトラクターヘッドやシャーシを用いて輸送する、ドレージ(drayage)輸送を行っている。