間接費は事業運営において欠かせないものである一方、画一的なマーケットプレイスがなく、交渉によって価格が変動するため、他社と比べて自社の間接費コストが高いのかどうか分かりづらい。そのため、多くの経営者が「間接費を削減する」という考えになりにくい。
「間接費市場は200兆円あるにも関わらず、最適な商品を選ぶことが難しく、価格テーブルも不透明。自社が使いすぎかどうかの判断もできないほどブラックボックスの状態にある。この間接費の無駄を見える化できれば、コスト削減に貢献できるのではないか、と思った」と語るのは、Leaner Technologiesの大平裕介だ。
同社は5月21日、無駄なコストを見える化・削減するクラウド型ソフトウェア「Leaner(リーナー)」の正式版をリリースしたことを発表した。また正式版リリースに合わせ、インキュベイトファンドから約5000万円の資金調達も実施したことを明らかにした。Leaner Technologiesは4月にクラウドワークスの成田修造、Vapesの野口圭登から資金調達を実施しており、今回が2度目の資金調達となる。
ビッグデータ解析で、間接費のコストを見える化
Leaner Technologiesの設立は2019年2月。代表の大平はA.T.カーニーでStrategic Scouring(戦略的調達)やBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)などコスト改革、事業戦略策定などに従事していた人物。
当時の経験をもとに、「企業がより挑戦しやすく、イノベーションを起こしやすい環境を構築するために必要なのは、テクノロジーの力で企業のコスト管理機能を変革することではないか。そうすれば利益率を改善することができ、新たな投資原資を創出できる」と考え、同社の設立に至った。
「欧米ではCPO(最高購買責任者)を設置するのは一般的ですが、日本にはほとんどいません。中小企業を中心に多くの企業では、経営者が管理しています。しかし、直接費は厳格に管理しているのですが、売上の1割〜2割を占める間接費は明確な管理方法がありません。そのため、多くの企業で自社の間接費が適正かどうか把握できていない状況に陥っているのです」(大平)
間接費の適正化を図るためには、まず間接費がどれくらいかかっているのか。現状を把握するところから始めないといけない。そのために、Leaner Technologiesが開発したのが、前述したソフトウェア「Leaner」だ。
「Leaner」は既存の財務・購買データを送付するだけで、同社が開発したビッグデータ解析システム「Leaner AI」が自社と他社の比較によって、使いすぎな間接費を特定。また、会社ごとのKPIをもとにコスト削減余地や、適切なコスト削減方法も提示してくれる。これによって、間接費の管理・削減が可能となる。