トランプ政権は今年3月、米国の宇宙飛行士を5年以内に月面に着陸させると発表していた。
「我々は目標の達成を支援できる。人類が月に戻る時がやってきた。今回は月に滞在する」と5月9日、ベゾスはワシントンで開いたメディアイベント話した。
今後の200年間で地球の資源は枯渇すると彼は予測し、だからこそ人類は宇宙に向かわねばならないとベゾスは話した。ブルー・オリジンの次世代ロケットであるニュー・グレンは、再利用可能な大型ロケットで、スペースXのファルコン・ヘビーの競合とされる。
また、ボーイングとロッキード・マーティンが2005年に設立したユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の「デルタIVヘビー」や、再利用可能な「バルカン」もそのライバルだ。
ベゾスによると2段式ロケットのニュー・グレンは、1段目を25回の再利用に耐える設計にし、燃料に液化天然ガスを用いることでコストを大幅に引き下げるという。彼はロケット本体のコストにはふれなかったが、1回の打ち上げの燃料費用は100万ドル以下という。
イベントではこのロケットが搭載する有人月面着陸機「ブルームーン」も披露された。この探査機は液体水素を燃料とし、自動着陸機能を備え、カメラやライダーなどのセンサーで地形のマッピングを行う。さらに、月の表面にローバーや宇宙飛行士を運ぶことが可能だ。
ブルームーンの電源はソーラー発電ではなく、水素燃料電池を用いるという。これは月面では約2週間の間、夜が続くためだ。さらに、この探査機には月の軌道に小型衛星を送り込むためのランチャーも搭載される。
「我々はブルームーンのミッション遂行に向けて、多くの顧客からの注文を受けた。そのうちの何名かは、この会場に来ている。彼らは月で科学的なリサーチを行おうとしている」と、ベゾスは話した。
彼が宇宙への移住の夢を語る上で引き合いに出したのが、1970年代にプリンストン大学の物理学者、ジェラード・K・オニールが提唱した、巨大な回転式の宇宙コロニーのアイデアだ。そこでは人々が快適に暮らし、宇宙資源の開発を行うとされた。
ベゾスによると、宇宙空間や月に巨大なコロニーを建設するのは、彼の世代が担うミッションではなく、次の世代に委ねられる仕事だという。彼らが行うのは、それを可能にするためのインフラの整備だという。
「未来の人類が宇宙で創造性を発揮するための下準備を、我々の世代が行う」とベゾスは話した。