5月7日の開発者会議I/Oで、64GBのストレージ容量を持つ「Pixel 3a」と「3a XL」の2端末がアナウンスされた。価格は3aが399ドル(日本では4万8600円)、3a XLが479ドル(同6万円)となっている。
比較のためにいうとiPhoneの新型モデルで最も安価なXRの価格は749ドル、グーグルが昨年秋にリリースしたPixel 3の価格は799ドルだった。
グーグルのPixel部門を統括するMario Queirozは、フォーブスの取材に「これらの端末はプレミアム端末を手に入れたいが、コストは今から2、3年ほど前のプレミアム端末の価格に抑えたいという人のためのものだ」と述べた。
Queirozによると、新モデルは「コモディティ化されたハードウェア」を用いることで低価格を実現しているが、ソフトウェアの進化により十分魅力的なモデルに仕上がったという。今回の2モデルは、以前のPixel端末に搭載された先進的なカメラ機能「ナイトサイト」や、AR(拡張現実)を用いたグーグルマップのナビゲーション機能が利用できる。
さらにPixel 3a/3a XLには昔ながらのイヤホンジャックが装備され、新色のパープルのモデルも用意されている。
今回の2モデルは、グーグルのスマートフォン分野での大きな戦略転換を象徴するものだ。
グーグルはサムスンやノキアらに無料でアンドロイドOSを提供し、グーグル検索やプレイストアから収益をあげてきた。その結果、アンドロイドは世界で最も利用されるモバイルOSになったが、それと同時にソフトウェアとしての一貫性が失われた。グーグルの調査では、最新バージョンで稼働するアンドロイド端末は20%に過ぎないという。
2016年に立ち上げたPixelシリーズで、グーグルは常に最新のアンドロイドOSを利用可能にしたが、高い評価を得た一方で、ニッチな存在にとどまっていた。グーグルは今回の最新モデルで、その位置づけを改めようとしている。
米国ではこれまでPixelの販売に関し、通信キャリアはベライゾン1社のみだったが、新型モデルはTモバイルやスプリント、AT&T経由でも購入可能になる。
「我々のゴールは可能な限り多くの人にPixelを体験してもらうことだ」とQuerioz は話した。
ただし、世界のスマホ市場が飽和状態に向かう中で、今後も厳しい戦いが続きそうだ。グーグルのサンダー・ピチャイCEOは同社の第1四半期決算発表の場で、Pixelの前モデルの売上が予想以下だったと述べていた。
Pixel 3aと3a XLは既にグーグルの直販サイトで購入可能になっている。