とはいえ、ディズニーがストリーミング最大手のネットフリックスから王座を奪うためには、使えるコンテンツやリソースを総動員する必要があるだろう。
ネットフリックスは現在、黒人の俳優や監督を起用したコンテンツに注力している。アフリカ系アメリカ人は、あらゆるデバイスにおいて、アメリカ全人口のなかで最も頻繁にストリーミング動画を視聴している。
ディズニーの家族向けコンテンツだけで、そうした視聴者を十分に惹きつけられるだろうか。
ディズニーをめぐる背景
ディズニーは新しいプラットフォームで、番組エピソード7500本と映画500本を配信する。それらを視聴するための月額料金は6.99ドルだ。
ネットフリックスは最も安いプランが9ドルなので、それよりもお手ごろではあるが、ディズニーにとっては、本格的なオリジナル番組を制作することがカギとなるだろう。
マイノリティ向けマルチメディア「カルチャーバンクス(CultureBanx)」が、市場調査会社「ホロウィッツ・リサーチ(Horowitz Research)」のレポートについて報じた記事によると、黒人オーディエンスは、ストリーミング配信を最も頻繁に視聴するだけでなく、コンテンツの流行を作るトレンドセッターでもある。
彼らは、「新しいコンテンツを誰よりも先に知りたい」と回答した割合が58%だったほか、自身の体験を反映した番組を見る傾向があることもわかった。
ディズニーは、2024年度末までに世界全体で6000万人から9000万人ほどの会員を獲得できると見込んでいる。
また、オリジナルコンテンツを増やすために、2020年に10億ドル(約1118億円)を、2024年までには20億ドル(約2236億円)を投じる予定だ。
このようにきわめて積極的な成長戦略をたてているのは、ネットフリックスが誇る1億3900万人もの全世界ユーザー数に対抗するためだ。
新しいストリーミングサービスについて発表した翌日、ディズニーの株価は前日比で11%以上も急騰。過去10年間の最高値に届く勢いを見せた。
ディズニーの新ストリーミングサービスは、ネットフリックス・キラーにはならないと見るアナリストもいる。理由は、コンテンツの種類が限られていることだ。
米銀サントラスト(Suntrust)のアナリスト、マシュー・ソーントン(Matthew Thornton)は、「結論を言えば、Disney+が家族向けコンテンツを目玉にする一方で、ネットフリックスはコンテンツの種類がはるかに幅広く、プラットフォームで最も検索されているコンテンツの大半がそろっている」と述べる。