しかし、それとは逆の効果があることを示す、研究結果が報告された。学術ジャーナルの「International Journal of Epidemiology」で公開された論文は、3万3000名以上の人々の過去3年間のBMI(肥満度の指数)の変化を分析したものだ。
その結果、大麻のユーザーと非ユーザーの平均体重の差は、およそ2ポンド(約0.9キロ)だったという。「わずかな差ではあるが、調査対象の様々なグループで一貫した違いが見られた」と研究を主導した、ミシガン州立大学の家庭医学助教授のOmayma Alshaarawyは述べた。
今回の調査では、大麻ユーザーは非ユーザーより、体重の増加が少ないことが指摘された。
「3年間の間に全ての被検者は体重を増加させていた。しかし、興味深いことにマリファナを使用する人々の体重の増加率は、非使用者よりも少ないことが分かった」とAlshaarawyは述べた。
他の研究でも同様な効果が指摘された例はあるが、その原因は特定されていない。大麻に含まれる何らかの成分が、代謝に影響を及ぼし、一般的な認識とは異なる結果をもたらしたのかもしれない。
Alshaarawyは次のように解説した。「原因として考えられるのは行動の変化だ。大麻のマンチーズ効果を心配する人々は、食べ物に気を配るようになる。もしくは、大麻が体の細胞やレセプターに影響を与えた結果、体重の増加を防いでいるのかもしれない」
ただし、それがどのようなメカニズムであれ、Alshaarawyは大麻にダイエット効果があると考えるべきではないと強調した。
「大麻の使用が体重の維持や減量に役立つと、考えるべきではない。大麻の使用には潜在的なメリットを上回る、健康上の懸念がある」とAlshaarawyは続けた。
また、今回の研究は人々の行動と体重の相関関係を示したものであり、因果関係を示せていないことを指摘しておきたい。論文では、大麻の使用が減量につながる理由にはふれられていない。今後の研究によって、その理由が解明されることを期待したい。
大麻の使用によりマンチーズが起こる原因は、THC(ハイになる成分)が脳の嗅覚や味覚を司る部分に刺激を与えるからだとされている。これにより、脳が飢餓状態であると錯覚し、食欲が増すことがネズミを用いた研究で分かっている。
しかし、人間のマンチーズの詳細なメカニズムについては、まだ明らかになっていない。