だが、マクドナルドはこの言葉を指針とすることをやめたようだ。同社は3月末、フランチャイジーにほとんど事前に通知することなく、全米レストラン協会に対して「今後は最低賃金の引き上げに反対するロビー活動を行うことはない」との考えを示す書簡を送付した。
同社は「自社のリソースを使用し…連邦政府、州政府、または地方政府が決定する最低賃金の引き上げに反対する」ことはないという。
フランチャイジーに「追い打ち」
マクドナルドのこの決定がどのような影響を及ぼすかを理解するためにはまず、同社とフランチャイジーの現在の関係について知っておく必要がある。
マクドナルドは1950年代から、フランチャイジーを通じて事業を行ってきた。近年では、それらの多くが多額の設備投資(店舗改装や設備のアップグレードなど)の必要性に迫られ、資産を大幅に減らしている。
これに加えて、第三者によるデリバリー(ウーバーイーツなど)にかかる(そして回収不能の)コストの増加を考えれば、フランチャイジーがどれほどの財政的なストレスを抱えているかが分かるだろう。
マクドナルドの事業は主に、フランチャイズとマーケティング、不動産に関連している。フランチャイジーの売上高と家賃の一部、フランチャイズ加盟料を受け取ることから、同社はこれらの取り分を増やすことで利益を上げることができる。
一方、コストが増えてもこれらの値上げに応じるほかないフランチャイジーには、資産や利ざやの減少分を取り戻すための選択肢がほとんどない。これは特に、ニューヨークのように家賃や税額が高く、人件費が大幅に増加している都市で、店舗の閉鎖につながっている。