同研究では、1日に温度が60度以上の熱い茶を700ミリリットル以上飲むことと、食道扁平上皮がん(ESCC)を発症する可能性が90%増加することの関連性が示された。
同研究結果は、2004年~08年にわたりイラン北東部のゴレスタン州の人々を対象にデータを記録したゴレスタンコホート調査を分析したものだ。同コホート調査の対象となったのは40~75歳の成人5万人で、追跡年数は10.1年(中央値)だ。同州では熱い茶を飲むことが一般的だ。調査対象者の中で、2004年から17年までの間に新たにESCCと診断されたケースは317件あった。
研究者らは同調査の始めに、各参加者がどれほど熱い茶を飲んでいるかを次の3つの方法で評価している。
・茶を「冷たい/ぬるい」「熱い」「とても熱い」のどの温度で飲むことが多いかについて尋ねる
調査では、「とても熱い」茶を好む人は、「冷たい/ぬるい」茶を好む人と比べ、ESCCを発症する可能性が2.41倍高いことが分かった。
・茶を注いでから飲むまで何分待つかを尋ねる
茶を注いでから2分以内に飲むと答えた人は、少なくとも6分待つと答えた人と比べてESCCを発症する確率が1.51倍高かった。
・サンプルを使用し、調査対象者が好む温度を測定する
2つのカップに茶を注ぎ、一つは温度測定用、もう一つは調査対象者用とした。対象者らは茶が冷める間、異なる時間間隔で茶を飲むよう指示され、通常飲むときと同じ温度かどうかを尋ねられた。この結果、温度が60度以上の熱い茶を飲むことを好む人は60度未満の茶を飲むことを好む人よりもESCCを発症する確率が1.41倍高かった。
こうしたデータを合わせた結果、60度以上の熱い茶を飲むことと、ESCC発症の可能性が90%増加することは相関関係にあることが示された。
では、熱い茶を飲むことを控えた方がよいのだろうか? ただ、60度の茶は非常に熱い。そのためこの調査は、ただの熱い茶というより非常に熱い茶に焦点を当てたものだ。また、こうしたコホート調査では、関連性を示すことはできても因果関係は証明できない。とても熱い茶を飲むことが多い人は、別途食道がんの発生原因となるその他の要素(調査では記録されなかった異なる食生活や社会的状況、環境暴露など)を持ち合わせている可能性もある。