しかし、故人のプロフィール写真を見たり、投稿を確認することで気分が癒やされる人たちがいる一方で、亡くなった人の「誕生日を祝おう」と呼びかける、無神経なメッセージが自動的に送信される事態も起きている。
フェイスブックには追悼アカウント制度があり、利用者が亡くなった場合、第三者がそれを報告すれば、そのような不適切な通知は送信されなくなるが、サンドバーグによると、フェイスブックは今後、AI(人工知能)を用いて利用者の死を検知し、報告がない場合でも不快な通知の送信を止める機能を導入するという。
AIがユーザーの死を検知するメカニズムの詳細は明かされていないが、友達からのお悔やみの投稿や、アカウントの利用状況から検知するものと考えられる。
「アカウントが追悼アカウントに移行していない場合でも、AIが持ち主が死去したことを検知し、亡くなった人がイベントの招待候補に表示されることや、誕生日のリマインダーが送信されることを防止する」とサンドバーグは述べた。
2015年にフェイスブックは、追悼アカウント管理人制度を導入した。これはソーシャルメディアにおける遺産相続人のような仕組みで、死後のアカウントの管理を任せる人をユーザーが指定出来る。
フェイスブックは今後、管理人の権限を拡大し、家族や友人が追悼アカウントの表示を変更したり、閲覧できる人に制限を書けることを可能にする。さらに、これまでは故人のアカウントのタイムラインに第三者からの投稿が追加される仕様だったが、新たにトリビュート用タイムラインを設置し、死後の友達からの投稿を分けて表示することが可能になる。
また、追悼アカウントのカバー写真の変更や、トップにピン止めする投稿の選択も可能になる。
しかし、フェイスブックは今回のアップデートには、まだ不完全な部分があると述べている。例えば、自動車事故などで追悼アカウント管理人に指定された人が同時に亡くなった場合、追悼アカウントに移行させることが出来なくなる。2番目の管理人を指定しておく機能は現状では実装されていないのだ。
Wiredの取材に、サンドバーグはこのような事態は当初、想定していなかったが、今後は解決策を探ると述べた。ユーザーからの疑問やフィードバックを取り入れつつ、フェイスブックは今後も追悼アカウントの仕組みを進化させていくという。
「私たちはフェイスブックが愛する人の思い出を残し、その存在を讃える場所であり続ける事を望んでいる」とサンドバーグは述べた。サンドバーグ自身も2015年に愛する夫を亡くしていた。