創業10年のAsanaは500人以上の従業員を抱えるが、社内では一切Eメールを用いないという。もちろん、外部企業からはEメールが送られてくるが、社内のコミュニケーションでは一切、メールを使用していない。
「Asanaでは業務の全てがプロジェクトとタスクに分けられ、項目ごとのスレッドで会話が交わされる」とモスコヴィッツは話した。Asanaのプロジェクト管理ツールの有料版は、ウーバーからエールフランスまで、6万社以上に利用されている。
Asanaは先日、年間定額収益(ARR)が1億ドル(約110億円)を突破したと発表した。同社の調査では、Asanaのプロダクトを導入した企業のナレッジワーカーの業務効率は45%上昇するという。
「インボックスにあふれるEメールは、膨大なタスクリストだ。各自が個々の内容を吟味して、適切なリアクションをとる必要に迫られる」
Asanaは間もなく企業の管理職向けのプロダクト「Workload」をリリースし、リーダーが全体のタスクの進捗や、業務のバランスを確認できるツールを実現する。
累計2億1300万ドルを調達し、評価額が15億ドルに達したAsanaは、既に上場を果たした競合らと比べると、まだ比較的規模の小さな企業だ。ソフトウェア開発者向けの業務管理ツールの「アトラシアン」の時価総額は約260億ドル、「SmartSheet」の時価総額は40億ドルに達している。
しかし、モスコヴィッツは今後のAsanaの成長に強い自信を抱いている。
「当社がターゲットとするのは、世界で10億人にものぼる企業のナレッジワーカーたちだ。現状で当社の製品や、競合のプロジェクト管理ツールを利用しているのは、そのうちのわずか2%に過ぎない。この分野では今後の巨大な成長が見込める」とモスコヴィッツは話した。