アップルの第2世代AirPods、音よりも普段の使い勝手が向上

アップルが、3月20日に完全無線イヤホンAirPodsの第2世代となる新製品を発売した。完全無線イヤホンとは、左右のイヤホン部分が無線化され独立しているタイプの製品。

第1世代AirPodsは2016年末の発売で、当時は完全無線イヤホンとしてはBragiのThe Dashが心拍計やMP3プレーヤー機能、防水機能などを備える高性能モデルとして君臨する一方、音楽リスニングに的を絞りつつ、ほとんど耳の中に隠れてしまう小ささのEarinなどが人気を獲得している時期。そこに登場したAirPodsは、アップル初の完全無線イヤホンということで注目されはしたものの、耳から中途半端な太さと長さでのびるマイクの部分が、そこはかとない珍妙さを醸し出していた。

ところが、AirPodsには使った人だけが実感できる便利さがたくさん詰め込まれていた。たとえば、一般的なBluetooth製品なら使いはじめに再生デバイスとの通信を確立するペアリング作業が必要になるが、Airpodsは付属の充電ケースの蓋を開けるだけで、近くのiPhoneやApple Watchの画面に接続を尋ねる画面が現れ、ワンタッチで作業を完了できる。

またAirpodsは片耳だけでも機能するように作られている。だから音楽に集中したいときは両方を装着し、誰かと会話する際は片耳だけつかうというような、日常的な場面でごく自然な使い方が可能だ。耳から外せば音楽再生が自動的に止まり、装着すれば続きが流れるといった、ちょっとした便利さもユーザーにとって心地よいポイントになっている。これらは専用に開発されたW1チップが提供する機能だ。それ以外にも、完全無線イヤホンではありがちな音楽再生中の音切れが起こりにくいのが好印象だった。

AirPodsは世界中で売れゆきを伸ばし、Counterpoint Research社は、2018年第4四半期の”ヒアラブル”、つまり耳に装着するウェアラブルデバイスの市場においてマーケットシェア全体の6割を占めたと報告している。

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そして、新たに登場した第2世代のAirPodsはというと、これがほとんど見た目に変わりがない。つまり第1世代から進化したのはその中身である。まず、W1に変わる専用のH1チップを採用し、タップ操作が必用だった音声アシスタントSiriを「Hey, Siri」と声で呼び出せるようになった。またケースを開けてからiPhoneなどにペアリングを促すメッセージ画面の表示や、電話をかける際の待ち時間など、個別の操作にかかる時間が1.5~2倍ほど早くなった。これらは地味な改善ではあるが、使い慣れてきた頃に再び第1世代を使ってみれば、その違いに驚かされるはずだ。

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処理の高速化には音声再生時のレイテンシを短縮する効果もある。特にゲームなどでは、画面の動きと音が合わなければプレイ感覚に支障がある。その点、第2世代AirPodsにおける音ズレは最大30%も低減されており、違和感を感じにくくなった。これら性能向上の多くはH1チップの力によるものだ。ただ、音に関しては変更らしい変更はなく、基本的な音質そのものは変わっていない。

AirPods本体よりも大きな変更が加わったのが、バッテリー内蔵の充電ケースのほうだ。第2世代AirPodsの充電ケースには従来と同様Lightningケーブルで充電する"Charging Case"が用意される一方で、iPhone XSやXRなどでも使えるワイヤレス充電パッドに置くだけで充電が可能なWireless Charging Caseも用意された。

Wireless Charging Caseは第1世代AirPodsにも対応しているため、単品購入が可能になっている。また、充電パッドを持たないユーザーはLightningコネクター接続の充電ケースとセットになったモデルも用意されているので、それぞれにあった組み合わせでの購入が可能になっている。

第2世代AirPodsは、ワイヤレス充電ケースとのセットが2万2800円(税別)。通常の充電ケースが付属するモデルは1万7800円(税別)で購入できる。オンラインのアップルストアでは出荷まで数週間を要するので、今すぐ欲しいのならアップル直営店に在庫がないか問い合わせてみるのが良いだろう。

文=Munenori Taniguchi

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