管理職としてのパフォーマンスにおいて、ちりも積もれば山となる例を以下に検討してみよう。
1. 時間厳守
時間厳守は基本的な事のように思われるが、日常的に従業員を待たせるのは、小さなイライラの要因でありながらも、強烈に否定的なメッセージを送る行為だ。そのメッセージとは、「君の時間は私の時間ほど重要でない」というもの。さらに言えば、「君は私ほど重要でない」ということになる。
これは厳密に組織の視点から言えば正しいメッセージだが、一つ間違いない事実は、どんな従業員であってもこんなメッセージは聞きたくないということだ。
2. 褒め言葉
小さなことでも大きな効果がある。これまで行われた調査では一貫して、従業員をいくら褒めても足りないことはないという結果が出ている。最近行われた調査では、従業員の36%が一番の離職理由として「承認不足」を挙げている。簡単な褒め言葉に必要な時間と労力がほんのわずかであることを考えれば、これが頻繁に問題となっていることは驚きだ。
3. 小さな成功を祝う
重要な大型プロジェクトの多くが長期にわたり続くものであり、小さなこと(締め切りを守れた、面倒な作業を終えられた、など)も取り仕切ることのできる管理職は、部下のモチベーションを保ちながら進捗状況をしっかりと管理できる。
私は企業に属していた頃、合併後に巨大なシステムを統合するプロジェクトがあり、完了には大規模チームと10年の歳月を要した。こうした長期プロジェクトでは、年月が経過するにつれモチベーションは自然と萎えていくため、優秀な管理職は小さなマイルストーンも意識していた。
4. フレキシブルであること
常にスケジュールが過密で時間が足りない状況では、スケジュールにフレキシビリティーを持たせることが、簡単で効果的な解決方法になり得る。部下に時折、若干の時間の余裕を与え、娘の出場する球技の試合を観に行ったり、高齢の親と会ったりさせれば、とても感謝されるだろう。
以上のコツはいずれも、経営学修士(MBA)履修課程で教えられるような大がかりな戦略ではない。しかしどれも、管理職としてパフォーマンスを発揮する効果的な方法となり得る。