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Andrey_Popov / Shutterstock.com

中国の顔認証テクノロジーをリードする企業が、北京の清華大学出身のYin Qiが大学の同級生2人と立ち上げた「Megvii(メグビー)」だ。Yinは2011年に同社を設立し、顔認証ソフトウェアの「Face++」を事業化した。

Megviiの顧客にはアリババ傘下の金融会社のアントフィナンシャルや、SNSのウエィボー(新浪微博)、スマホメーカーのVIVOや配車サービスの滴滴出行(Didi Chuxing)らがある。

昨年12月に中国銀行が主導した資金調達ラウンドで、5億ドル(約550億円)を調達したMegviiは、年内に欧州や日本、中東、東南アジア、米国でのプロジェクトを始動するという。

Megviiは、物流やスマートフォン、スマートシティを今後の成長領域とみなしている。「これらの領域はいずれも数十億ドル規模の市場になる」と現在31歳のYinは話す。

今年1月、MegviiはAIを搭載したロボットや物流オペレーションシステムなどのテクノロジー開発に向け、2億9600万ドルを注ぐとアナウンスした。この動きに備えて同社は昨年、非公開の金額で北京のロボット企業Ares Robot Technologyを買収していた。

Megviiの最大の顧客の一つが、世界最大の人口を抱える中国政府だ。Face++は中国全土に設置された1億7000万台以上の監視カメラ映像を解析し、個人の行動を把握している。

中国政府による個人の監視は、議論を呼ぶことも多いが、Yinによるとこれは合法的な行為であり、政府関連の投資家のMegviiの株式の持ち分は、ごく少数だという。Yinはまた、政府の監視カメラ利用が誇張されて報道されているとも話した。

「西側諸国でいわれるビッグブラザー的な監視のニーズはあまりない。今後の当社の成長は、民間領域での活用にかかっている」とYinは続けた。彼は2016年のフォーブスアジアの「30アンダー30」に選出されていた。

昨年12月の資金調達時にMegviiの企業価値は35億ドル(約3860億円)とされ、年内のIPOの計画も進んでいるという。Megviiの初期出資元のQiming Venture PartnersのDuane Kuangは創業当初、一部の役員が「顔認証技術の商用化を急ぐべきではない。技術を磨いてから、市場に出すべきだ」と主張したのを覚えている。

テック企業は政治的には中立の立場

しかし、Yinは「技術開発と並行して、契約の獲得も進めていくべきた」と反論した。「彼らは全員、大学を出たばかりの研究者たちで、果たしてこのテクノロジーが政府や大手企業の契約を獲得できるのかという疑問もあった」とKuangは当時を振り返る。

「しかしYinはMegviiが技術開発のみに専念していたら、ビジネスチャンスを失うと主張した」とKuangは話した。

Megviiはその後、2017年にはアントフィナンシャルと並んで、iPhoneの組み立てを行うフォックスコンからも資金を調達した。フォックスコンは工場の従業員らを、Megviiの技術で認証している。

これらの取り組みを通じて、Megviiは中国の顔認証分野を代表する一社に成長した。同社の競合には、上海本拠のYITU(依图)や、香港本拠のセンスタイムなどがある。センスタイムの評価額は45億ドルで、中国で最も企業価値の高いAI(人工知能)関連企業として知られている。

米中の対立や、中国のテック企業に対する疑念の高まりの中にあっても、Yinは自社の将来に楽観的だ。「テクノロジー企業は政治とは関わりが薄く、中立的なポジションにある。グローバリゼーションと公平な市場は我々の味方になるはずだ。問題が生じたとしても、時間が解決する」とYinは述べた。

編集=上田裕資

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