差し押さえの強化や所在不明の不動産対策などに着手し、年間の差し押さえ件数は同10年間で3.4倍に増加。岡元は「地方公務員が本当にすごい!地方公務員アワード2018」のほか、公務員を称するアワードをいくつも受賞している。
滞納者への対応の厳格化は、ともすれば市民の反感を招きかねない。しかし、厳しい対応の裏には、真面目な納税者が損をしない、公平な社会の実現につなげたいという岡元の信念がある。
差し押さえの判断を迅速に
平成23年(2011年)に滞納債権整理回収の担当になった岡元が最初におこなったのは、差し押さえをするかどうかの判断を早めたことだ。それまで催告書を3、4回送った後、それでも支払われなければ差し押さえに踏み切っていたが、もっと早い段階で進めるようにした。
さらに、不動産公売などの難易度が高く、より専門的な法知識が必要になる業務も積極的に進めた。公売では物件の写真がインターネット上のサイトに載るため、滞納者が「住めなくなるのは嫌だから」と、100万円を超える滞納金をまとめて支払うといったケースも出てきた。
岡元は、「厳しい処分をすることで、市民の皆さんに『ちゃんと払わなきゃダメだよね』と感じてもらえたのではないか」と振り返る。
玄関や窓のカギを強制的に開けて家の中を捜索したり、5000円ずつ分割で納付していたような人でも、相当の給与があるならば差し押さえ、毎月10万円を超える金額を強制徴収するようにしたりした。次第に「寝屋川市は滞納に対して厳しくなった」という話が広まり、自ら納付する人も増えていったという。
厳しい処分で揉め事も減少
滞納すれば、厳しい処分があるのは当たり前──。そんな意識が浸透していくことで、滞納者との関係も変化してきた。
かつて岡元が保育料の徴収をしていた当時、保育料滞納で差し押さえられることはめったになかった。そのため差し押さえられた人から「なぜ自分だけ?」と窓口で訴えられることも少なくなかった。しかし、厳しい処分が浸透してからは、逆にこうした滞納者との揉め事も少なくなったという。