証券会社カウエンはブルームバーグの取材に対し、アップルが選択可能なオプションの1つ目は、「5G競争が始まってから18カ月後に、インテル製のミリ波に対応しない下位機種のモデムを調達することだ」と述べた。
ミリ波は5G通信を最速で行える通信帯域であり、このモデムの採用はアップルの「最新テクノロジーを遅れて投入するが、完成度は他社よりも高い」というポリシーにそぐわない。
2番目の選択肢は、競合のサムスンから5Gモデムを調達することだが、その場合はかなり高額な費用を請求される可能性が高い。3番目はファーウェイからの調達だが、セキュリティ上の懸念のため、現実的な話とはいえない。台湾のメディアテックに頼る手もありそうだが、スケジュール的に無理だという。
もう一つ、別のシナリオとして考えられるのが、アップルが長年のクアルコムとの紛争で和解し、世界最大のモデムメーカーである同社から製品を調達することだ。しかし、両社が歩み寄る気配は一切見えておらず、これも現実的とはいえないだろう。
カウエンによると、アップルがインテルのモデム事業を買収し、社内でモデム開発を行う道もあるという。しかし、この方法で2020年までに新たなモデムを開発することも、現実的とはいえない。
ここまでの状況から考えて、アップルが今、極めて難しいポジションに追い込まれていることは明白だ。アップルとクアルコムの2社が、仲直りをすれば問題は片付くのだが、それほど簡単に物事は進まないだろう。5G通信対応の遅れにより、消費者のiPhone離れがさらに進むことも懸念される。