東志保のLily MedTechは乳がん用診断装置を開発する東大発ベンチャー。夫で同大教授の東隆らが開発した超音波振動子を使い、痛みがない検査を実現。乳房部分に穴が開いた台に受診者がうつ伏せになり、リング状になった約2000個の素子で均質に診断できる。
東の母親が脳腫瘍で亡くなったのは高校生の時。家族の中心だった母親の闘病で生活は一変。ショックで何が起きたのか、大人になっても消化しきれなかった。夫の開発した診断機器で多くの女性を救えるかもしれないと知り、母親のことを思い出した。「経営経験はゼロで、直前まで社長になるなんて想像もできませんでした。でも幸せな家庭を守りたいという熱意なら誰にも負けません」。
あずま・しほ◎1982年東京都生まれ。電気通信大学卒、米アリゾナ州立大学修士課程修了。2016年5月Lily MedTechを創業。NEDO STS助成事業やAMEDなどに採択。Beyond Next VenturesやJSTなどから3億5000万円調達。