米国疫病予防管理センター(CDC)は、2歳未満の子どもにフッ素入りの歯磨きは使わないことを推奨している。また、米国小児科学会(AAP)や米国小児歯科学会(AAPD)、米国歯科学会(ADA)も、2歳児は1回の歯磨きに米粒程度の量を、3〜6歳児は豆粒程度の量(約0.25g)の歯磨き粉をつけて、1日に2回歯を磨くことを推奨している。
つけ過ぎはなぜよくないのか? 虫歯予防成分として歯磨き粉に含まれているフッ素は、成長途中の歯のエナメル質を傷つける可能性があるというのがその理由だ。フッ化物の過剰摂取によって起こる症状を「歯のフッ素症」と言い、歯に白い班が生じたり、重度の場合には歯に小孔ができたりする。
CDCが2月1日に発表した「米国児童青少年の、歯磨き粉の使用と歯磨き習慣に関する調査 2013-2016」によると、アメリカの3〜6歳児のうち約38%が、CDCらの推奨する量以上のフッ素入り歯磨きをつけているという。米粒程度の量をつけているのはわずか12.4%に過ぎず、豆粒程度の量が49.2%、歯ブラシの半分程度の量が20.6%、歯ブラシ全体を覆う量をつけている子どもは17.8%いることが判明した。
3歳〜15歳の計5157人とその保護者を対象としたこの調査ではさらに、白人の8.9%、黒人の10.8%、メキシコ系アメリカ人の7.7%が、1歳になる前に歯磨き粉を使い始めていることもわかった。
また、白人の21.4%、黒人の17.3%、メキシコ系アメリカ人の31.2%は、3歳を過ぎてから歯磨き粉を使い始めており、歯磨き粉を使った歯磨き習慣の開始時期が早過ぎる子どもと遅過ぎる子どもが多数存在することが明らかになった。
8歳を過ぎれば歯のフッ素症を心配する必要はないが、それでも歯磨き粉のつけ過ぎは避けたほうがよさそうだ。歯磨き粉のCMでは歯ブラシからはみ出すくらいの量をつけていることが多いが、実際には成人も豆粒程度の量で十分だという。アメリカ人が過剰消費しているもののリストに歯磨き粉も加えるべきだといえる。