スポンサー契約と聞くと、自社製品の提供と露出をベースとしたものが一般的だが、今回のアンカー・ジャパンの取り組みは従来のものとは少し異なるようだ。
選手・スタッフのスマートライフの支援。サポーターの“サポート”も
具体的には日常生活や練習、試合の際の移動はもちろん、災害等の万が一のケースも含め、Ankerグループ製品を通じて360度全方位でのサポートを想定。対象はプロ契約を結ぶ選手だけではなく、U-18のアカデミー選手、スタッフ、そしてサポートは「サポーター」にまで及ぶ。
プレーヤー・ファン・クラブハウスの利用者がAnker製品に触れ、使うことを通じて同社が掲げる「Empowering Smarter Lives」の姿勢を実感するなど、その片鱗を垣間見られるような取り組みを考えているという。
Ankerグループといえばモバイルバッテリーを代表とするチャージング関連製品が有名だが、2017年後半より「Anker」以外のブランドがここ1~2年でイヤホン、スピーカーなど、新しい事業分野に挑戦の手を広げている。
創業期はオンラインチャネル、特にアマゾンを中心に存在感を高め2016年、2017年の2年連続で「Amazonマケプレアワード」の最優秀セラー賞グランプリを獲得。半年に一度発表される「Amazonランキング大賞」でも関連部門で上位を独占し、年間の売上も100億円に届く勢い。
近年はオフライン展開(量販店や直営店)も積極的に広がっている。その次の一手がJ1リーグ2連覇中の川崎フロンターレとのゴールサイドバナースポンサーの契約だ。
(写真左)中村憲剛選手、(写真右)井戸CEO。背番号の下にもAnkerロゴが
CMではなく、Jクラブを選んだ理由
アンカー・ジャパンとしてBrand Promotionを念頭に置いた初の大型スポンサーシップ。その経緯について、担当者に聞くと、2018年の秋口から今回のスポンサーシップの話が一気に進行したとのこと。Ankerグループとしてのメッセージの伝達や新たな顧客を含んだコーポレートとしてのブランドプロモーション戦略を整える中の思案だという。
彼らの商品開発を含む企業活動の全ては、「Empowering Smater Lives」というコーポレート・ミッションを軸に進められている。この実現に向けて、最も大切にしているのが「ユーザーの声を聞く」ことだ。顧客、ユーザーとより深い信頼関係を築くこと、メッセージを具体的な形にし、体感・体験から理解して貰うことをAnkerは大切に考えている。昨今、スタートアップやベンチャーが活用しているテレビCMを選択しなかったのはここにある。