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2019.02.19 16:30

第2本社計画頓挫のアマゾン 欠けていた「インフラ企業」の自覚

アマゾン第2本社建設計画に反対するロングアイランドシティーでのデモ(Photo by Stephanie Keith/Getty Images)

アマゾン・ドット・コムは先週、ニューヨーク市クイーンズ区ロングアイランドシティーで予定していた第2本社建設計画について、地元政治家の反発を理由に中止を発表した。

アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員をはじめとする政治家らは、ニューヨークへアマゾンを誘致するための30億ドル(約3300億円)規模の税優遇措置や、同社の労働慣行、そして第2本社建設により予想される地域の急速な高級化に激しく反対していた。計画中止により、ニューヨーク市は今後25年で期待されていた270億ドル(約3兆円)の税収や2万5000人分の直接雇用を失ったほか、さまざまな小規模インフラ改善も期待できなくなった。

計画の中止により、ニューヨーク市は交通機関の大混乱を回避することにもなる。同市の地下鉄を運営する都市交通局(MTA)は、既にニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事によって非常事態が宣言されている。

市内では全電車の40%が遅延しており、一部路線での状況はさらに悪い。アマゾン第2本社へつながる予定だった主要路線のひとつであるE線では、定刻通りに運行される列車が半数にも満たない月もある。列車の遅延によりMTA利用者は毎日計3万5000時間、つまり1日でほぼ4年分の時間を無駄にしているとも言われている。

第2本社の従業員が利用する予定だった路線はE、G、7、Mで、そのほかにもイースト川を渡るフェリーもある(ただし、若い従業員の多くはブルックリンに住みたがるものと思われ、そうすると利用できる路線はGしかない)。

それでも、既に増加傾向にあるロングアイランドシティー人口に、2万5000人の従業員とそれをサポートするのに必要な数千人が加われば、各路線の輸送能力は限界に達していただろう。この点については多くの地元住民が懸念していた。

MTAのような大規模インフラの改善は、長期的かつ厳しい取り組みとなる。例えば、地下鉄2番街線は当初、1920年代に建設が提案されていたが、実際に開通したのは2017年だった。

インフラ建設・改善を実現するためには、開発業者と各利害関係者が結束し、予算確保や人口動向の調査、地元指導者や住民らとの協力、市民団体や労働組合との交渉、多数のタウンホールミーティング開催に取り組み、政治的地雷原を上手く通り抜けながら、人々がどれだけ恩恵を受け生活がどれだけ豊かになるかについて真に理解していることを示さなければいけない。いずれも、アマゾンがニューヨーク市でしてこなかったことだ。
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編集=遠藤宗生

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