デート代はどっちが払う? 割り勘問題から考察する男女の駆け引き

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これはもしかしたら、誘われないとデートに行くべきでないという旧世代の呪縛から自分は解放されるべきという意識の表れかもしれない。いずれにしても、これだけネット社会になって情報過多な状況であっても、人はどうするべきか答えを探し続け、友人に聞いたり、ネットを調べたりするが、結局は十分に納得することなく、準備なく本番へと進んでいく。

そう思えば、愛とカネ、それぞれ人間は大きな執着をもって生きているだけに、割り勘問題が余計にややこしくなるのは、よく理解ができる。アンケートでは、女性が割り勘を主張してくると、それは「自分に興味がない証拠だ」と受け取る男性が多いというし、女性も、男性が割り勘に応じようものなら、やはりそれは「マジなデートだと思われてない証拠だ」と受け取るようだ。

“スマート”であればよし?

まとめると、すべては相手の出方に応じて、こちらも洗練された受け答えをして、お互いが納得する「合意点」を一瞬でも早く見つけることが、男女ともに求められるということだろうか。

そして、伝統的な思い込みや「べき論」からくる頑なさは何の足しにもならず、あなたは期待された役割をその都度演じ分けなければならない。スマートに奢り、スマートに奢られ、スマートに割り勘に落とし込む……。

若いカップルの初々しさをまぶしく見る一方で、数十年も既婚を続けてきた「まったり組」としては、そういう困難な義務から解放され、ひとつのルールを繰り返すことの逆説的な自由度と居心地の良さをありがたいとさえ思う。ちなみに、この原稿は、編集者に渡す前にまず妻が読んでいる。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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