テンセントはこれまでウーバーやテスラ、Snapらに出資し、ゲーム関連ではRiot Gamesやスーパーセルを買収している。また、米国やアジアのロボティクスやバイオテック、マシンラーニング系企業にも盛んな出資を行っている。
母国の中国でテンセントはアリババをライバルと見据え、格安Eコマースの「Pinduoduo(拼多多、ピンドォドォ)の株式の18.5%を保有する。テンセントは動画アプリ「TikTok」の競合である「Kuaishou(快手)」にも出資している。
今回のRedditへの出資にあたり、テンセントは米国のアンドリーセン・ホロウィッツやセコイア・キャピタル、Fidelity Ventureらと手を組んだ。テンセントが米国の有力ベンチャーキャピタルと共同で出資を行うことは、これまでと同様の流れだ。
しかし、米国のソーシャルメディアの大半が中国進出を果たせないなかで、テンセントがRedditに出資を行ったことは興味深い。米中間では、貿易やテクノロジー分野での対立が深まっており、中国のテクノロジー企業が米国を脅かしているとの見方も強まっている。
Redditがテンセントにとって非常に魅力的なのは、この掲示板サイトがゲームユーザーたちから強く支持されている点だ。一方で、Redditのような米国企業から見ると、テンセントのような中国の大手テック企業からの出資を得ることで、中国の巨大なゲーム市場へのアクセス機会が開けるかもしれない。
BATと呼ばれるバイドゥやアリババ、テンセントの3社はこれまで米国のテック領域に盛んな出資を行ってきた。しかし、S&P Global のデータによると、BATからの米国向け出資は昨年、減少に転じ、2018年の合計出資額は21億ドルにとどまっていた。
そんな中、今回のテンセントのRedditへの出資が、2019年を代表する中国のテック企業からの対米投資の一つに数えられることは間違いないだろう。