ビジネス

2019.02.07

構想から2年、CAMPFIREが融資型クラウドファンディングを始めるワケ

CAMPFIRE 家入一真


「(CAMPFIRE Ownersは)2年前から準備をしてきたサービスだ。購入型のクラウドファンディングを7年やってきたが、その中で、いくつかの課題が見えてきたからだ。例えばお金を集めたはいいが、リターンを返すことで疲弊してしまうプロジェクトオーナーもいた。例えば『ゲストハウスを立ち上げる』というプロジェクトなら、『無料で泊まれる』といったリターンを提供する。だが、そうではなくて、『日々の経営で得た利益の中から、資金を返済する』というほうが(事業と)相性がいいケースだってある」

「寄付や購入型のクラウドファンディングというのは応援したいという『思い』がモチベーションになっている。その一方でこれまでの金融商品、たとえば投資信託や不動産、外貨といった、『思い』でなく『利回り』を追求するものがあった。お金を出す支援者側の視点で、『思い』と『利回り』の間に、グラデーションのように存在するものがあるのではないかと思っていた。銀行の利回りなんてたかが知れてる。そうであれば地元の人にお金を融資して、1.5%の利回りで返ってくるような世界もあるはず。マイクロファイナンスもそういう考えだと思う」

「金融バックグラウンドの組織作りやオフィス整備、そして外的な環境変化もあって時間はかかったが、一方で自分たちの領域を追求して考えてくることができた。利回り競争のソーシャルレンディングと同じ土俵で戦うのではない。利回りは高くなくても、思いを共有できるものを作っていきたい」(家入氏)

CAMPFIREでは、2021年内にCAMPFIRE Owners単体でプロジェクトオーナー1万人、支援者100万人、流通総額1000億円を目指す。また、購入型であるCAMPFIREとの連携やコミュニティウォレット「Gojo」を通じたコミュニティへの融資、海外展開などを通じてユーザーの拡大を図る。

「クラウドファンディングを通じて金融サービスへのアクセスを容易にして、金融包摂、フィナンシャル・インクルージョン(貧困者や小規模事業者などでも手軽に金融サービスを利用できるようにすること)を実現していきたい。これからの日本のことを考えると、民間でも、もっといろんなお金の動かし方を考えないといけないと考えている」(家入氏)

文=岩本有平 写真=CAMPFIRE提供

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