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まずはファッションブランドであること。低価格で容易にアクセスできるブランドであること。高品質のサービスを提供すること。最後に、社会的ミッションを持っていること。──そして、これらは「ディテール(細部)」にこだわることでしか得られない。

「細部にこだわらなければ、ブランドとは呼べません。時代を超えて世にインパクトを与える企業には深さや重みがあります。それは細部にこだわることでしか得られないのです」(ブルメンソール)

ましてや、メガネともなればなおのことだ。服はわずかなサイズの誤差なら許されるだろう。視力を左右し、顔の見えかたを変えてしまうメガネの場合はそうはいかない。だからこそワービー・パーカーでは、ウェブサイトや店舗のデザイン、ビジネスモデル、経営戦略、そのすべてが明晰な分析と精緻な戦略のもとで遂行されているのだ。

「いつも自分たちの、そして顧客の『エクスペリエンス(体験)』について考えています。私たちはいわば、『エクスペリエンス・デザイナー』でしょうか」と、ブルメンソールは話す。

メガネとはどういった体験を提供するものか。その体験によって何が得られるか。誰がこの体験を最もよく体現しているか?

社名の「ワービー・パーカー」も6カ月間かけて、延べ2000件超の候補を考え抜いたうえでようやく決めた。職業柄メガネとつながりが深く、かつ創造性をもって人々の生活を豊かにする作家から名を取りたいと考えていたが、なかなか良いのが見つからない。そんなとき、ギルボアがニューヨーク公共図書館で開かれたジャック・ケルアックの企画展を訪れた。そして、そこで見つけた彼の小説に登場するワービー・ペッパーとザグ・パーカーの名を組み合わせることで社名が誕生した。

自分の生み出したキャラが文学の枠を超えて、小売業界で新しい物語を紡いでいる──。さすがのケルアックにも想像できなかっただろう。


ニール・ブルメンソール◎タフツ大学卒業後、視力測定・矯正NPO「ビジョンスプリング」で勤務。経営戦略については「調査と考察、実験を繰り返して慎重に展開している」と語る。

デイブ・ギルボア◎カリフォルニア大学バークレー校を卒業後、コンサルティング企業「ベイン・アンド・カンパニー」等で勤務。医師の両親を持ち、過去には医師を志していた。

文=井関庸介 写真提供=ワービー・パーカー

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