しかも、こうした人々はおそらく、介護の方法について正式に訓練を受けたことがないはずだ。高齢になった家族が助けを必要としていたので、自分でやることにしたのだろう。自らのお金や心身の健康を犠牲にして介護を行っている彼らこそ、自覚があるにせよないにせよ、称賛されるべきアメリカの真のヒーローだ。
彼らの力になれるよう、家族を介護する人たちの話をもとにまとめたアドバイスをいくつか紹介したい。これで少しでも介護がラクになることを祈るばかりだ。
1.まずは話し合う。
介護される側が何を必要としているのか、介護をする自分ができることとできないことは何かを、率直に話し合おう。介護される側はたいてい、負担をかけてしまうのではないかと気をもみ、できる限り自立した状態を続けたいと考えている。自分ができる範囲を正直に伝えよう。
2.遠慮せずに助けを求めよう。
介護の支援や訓練を提供している組織が、近くにたくさんあるはずだ。私の町には、アルツハイマー病の家族を持つ人向けに支援を行うサポートグループがあり、介護者を対象にしたトレーニングを無料で実施している。
3.家族を巻き込もう。
自分が行っている介護の内容を、きょうだいや配偶者に知ってもらおう。身体的にどこまでなら可能なのか、自分の限界を把握して、助けがほしいと周囲に依頼しよう。また、定期的に介護から離れて休憩することが必要だ。家族の誰かに介護を代わってもらい、ゆっくりできる時間を確保しよう。
4.定期的に家族会議を開こう。
介護者は、高齢の父親や母親の状態について、つねにきょうだいに知らせておこう。公平な立場の人に、家族会議の進行役を頼むのもいいだろう。遠くに住んでいて出席できない家族がいたら、FacetimeやZoom、Skypeなどの最新テクノロジーを通じて参加してもらおう。参加しない人をつくってはいけない。言い訳の材料を与えることになるだけだ。
5.協力者の連絡先リストを作ろう。
介護される家族の個人的な知り合いで、助けてくれそうな人たちのリストを作ろう。どんな友人がいるだろうか。アドバイザーや、親しい親戚や隣人はいないだろうか。可能なら、そうした人々と意思疎通を図っておこう。そして、ときどき訪ねてもらい、家族と時間を過ごせるよう段取りしよう。
6.自分を大切にしよう。
介護者は、介護される側より頻繁に体調を崩すことが研究で明らかになっている。睡眠時間を十分にとり、健康な食生活を心がけ、趣味の時間を確保しよう。自分の健康を大切にできなければ、ほかの人の面倒を見ることもできなくなるのを忘れずに。
7.罪悪感を抱かないようにしよう。
自分も人間であり、ほかの人のためにできることには限界があるのだと肝に銘じよう。いずれは、大切な家族が必要とする手厚い介護を提供することができなくなり、難しい決断を下さなくてはならないときが来るかもしれない。