このリストに名前が挙がる成分は、同社の製品には一切使われていない。ただリストを発表しただけではある。だが、ビューティーカウンターは疑問が持たれる添加物を明確にすることで、急成長を続ける化粧品業界の混乱(同時に「論争」でもある)を浮き彫りにした。
市場が抱える問題
調査会社スタティスタによれば、ウェルネスへの関心が高まる中、2016年には110億ドル(約1兆2000億円)規模だった世界の「クリーン・ビューティー(オーガニック、またはナチュラルコスメ)」市場は、2024年にはおよそ220億ドルにまで成長する見通しだ。
その他の全ての産業と同様、この業界も利益の上に成り立っている。だが、その他の全ての産業とは異なり、この業界は十分に規制されていない。そのことで生じるのは、「信頼性」に関する問題だ。特にウェルネスの分野に関心が高い消費者は、「フェイク」を容認しないだろう。さらにその消費者たちには、偽物を打ち倒すのに十分なソーシャルメディアがある。
そのため、ビューティーカウンターのほかセフォラやロレアルなどの各社は、自らの信頼性は自ら証明しなくてはならない。そのための最善の方法は、消費者にとって何が正しいかを決めるのではなく、消費者がより良い決断をするための支援することだ。
「完全に」安全な化粧品は少ない
設立から25年がたつ環境保護団体EWG(Environmental Working Group)が作成するデータベース「Skin Deep」には、7万点を超える化粧品の調査結果が掲載されている。これらのうち、安全性に懸念がある(または安全性に関する詳細な検査が行われていない)化学物質を含んでいないことをEWGが確認した商品は、わずか1250点だ。
クリーン・ビューティーに関わるもう一つの重大な問題は、米食品医薬品局(FDA)には美容業界を規制する権限が与えられていないことだ(着色料のみが規制対象)。つまり、商品の安全性は、それぞれのメーカーが保証する必要がある。
その結果、クリーン・ビューティーの分野は科学者や医師、政府機関などではなく、ソーシャルメディア上のインフルエンサーやセレブたちの推薦に大きな影響を受けることになっている。
信頼を得るためには─
そうした中で、「クリーンな」ブランドはどのようにすれば自社の商品の安全性を証明し、利益を上げていくことができるだろうか。ビューティーカウンターのリストは、その方法を示す好例だと言える(同社のほか、Credoも同様の「Dirty List」を公表している)。