開いてみると、なんと「アマゾンがアメリカ版『¥マネーの虎』と公式パートナーとなり、コラボビジネスを展開する」とある。しかも、アメリカのニュースサイト、テッククランチのトップニュースになっていた。
内容を簡単に説明すると、アマゾンが2015年に立ち上げたスタートアップ支援サイト、Amazon Launchpad上に「Shark Tankコレクション」という特設ページを作り、「SHARK TANK」でマネー成立(=投資が成立)になった製品の販売、または採用されたビジネスプランのクラウドファンディングを行うというものだ。
販売する製品は、「SHARK TANK」第9シーズンまでの9年間にマネーが成立した70品以上が対象になるほか、現在放送中の第10シーズン以降の製品も、同じように取り扱う予定だという。
Amazon Launchpadは主に、有望だが大量生産までいっていない“新興製品”を広く販売しているサイト。このコラボにより、「SHARK TANK」に登場したハードウェア・新製品は、アマゾンの利用者にもアプローチできるので、リーチが飛躍的に拡大する。つまり、とんでもなく大きなマーケットが開設されたことになる。
投資家に新商品をプレゼンする挑戦者。「SHARK TANK」第10シーズンより(Getty Images)
番組で「マネー不成立」の挑戦者が大成功?
アマゾンが公式パートナーになったのは、2013年の「SHARK TANK」でマネー不成立になった“ビデオ・ドアベル”がきっかけになっている。“ビデオ・ドアベル”とは、カメラが内蔵された玄関のベルが鳴ると、自分のスマートフォンに映像が転送されて、誰が来たかがわかる。そして家のどこに居ても、玄関先の来客と話ができるという商品だ。
挑戦者は番組ではマネー不成立で、投資を得られなかったが、その後、自らスタートアップを設立し、地道にビジネスをスタート。そして5年後の2018年、アマゾンが同社を10億ドルで買収し、エグジットに成功したのだ。このニュースは「サメ達には先見の明がなかった……」と、大きく取り上げられた。
しかし、そこでアマゾンが「SHARK TANK」に目をつけ、将来ヒットするかもしれない製品にいち早くリーチしようと今回の提携につながった。
実は、日本の「¥マネーの虎」でも、マネー不成立になった挑戦者が、テレビ出演をきっかけに、テレビを観ていた“別の投資家”から資金調達することができ、ビジネスを成功させた例がある。また、番組外で「虎」と呼ばれる社長の会社を訪問して、直談判し、投資をしてもらい成功した人もいる。