月探査機「嫦娥四号」を月の裏側に着陸させた中国国家航天局(CNSA)は1月15日、月に持ち込んだ綿花の種が発芽した模様を撮影した写真を公開した。
今回の発芽実験は重慶大学の研究チームが作成した、空気と水、土が入ったバケツ状の容器の中で行われた。容器内には綿花の他に、ジャガイモやアブラナの種、ミバエの卵と酵母も入っているとサウス・チャイナ・モーニング・ポストは伝えている。
「植物が重力の低い環境下でどのように生育するかを観察することは、将来的な宇宙基地の建設に役立つことになる」と研究チームを率いるLiu Hanlong教授は述べている。
容器内に収められた種は、12月7日に打ち上げられた嫦娥四号が、月にたどり着くまでの間、休眠状態におかれていたという。宇宙空間での植物の育成は、これまで国際宇宙ステーション(ISS)でも実施されていた。しかし、月面での植物の育成はこれが初めてだ。
研究チームは同じ種を地球上のラボで同時に発芽させており、月での成長との違いを見極めようとしている。月面での重力は地球の6分の1で、大気が無いために地球より多くの放射線が降り注いでいる。
GBTimesの報道によると、今回の実験は嫦娥四号が月に着陸してから数時間後に始動し、24時間体制で生育状況が記録されているという。全ての種子が発芽を開始した訳ではないが、中国が今回の実験で既に巨大な成果を収めたことは確かだ。