iPhoneの売上不振のニュースが相次ぐなか、アップルが一部の市場でさらなる値下げを実施したことが明らかになった。Yahoo Financeが掲載した記事で、アップルが通信キャリアや販売店への卸価格を引き下げ、同社の名に傷がつかないように、値引きを行っていることが分かった。これは姑息な戦略ともいえる。
Yahoo Financeの記者はアップルが1月8日から、中国のパートナー企業に対しiPhone XRを約100ドル値引きして販売中であることを確認した。現地の家電量販店「蘇寧電器(SUNING)」は、即座に小売価格を引き下げたという。
アップルは体面を保つため、中国の公式サイト上の販売価格を変更していない。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先日の記事で、iPhone XRが失敗だったと述べたが、ティム・クックCEOは即座にこの見方を否定していた。
ここで気になるのは、アップルが今後、中国以外でもこの手法で値引きを行う可能性だ。
アップルのiPhoneは業界の最高水準の38%という高い利幅を確保しており、値下げが不本意だとしても、不可能ではない。アップルは米国と欧州で、旧型機種の下取りと引き換えに、iPhone XRを499ドルのディスカウント価格で販売しているが、もっと堂々と値引きを行ってもいいはずだと筆者個人は考えている。
皮肉なことにiPhone XRは、アップルがここ数年リリースしたモデルのなかで、最も高い完成度を誇る端末だ。iPhone XRは上位機種のiPhone XSやiPhone XS Maxのコア機能を低価格で実現し、デザイン面でも優れ、バッテリー持続時間も長い。
そのiPhone XRが、ここまでの不振に直面していることは、アップルの苦境が今後の長期に渡る可能性を示唆している。同社が今年発売する最新モデルは、昨年の端末からほとんど進化がなく、5G通信にも対応しないことが分かっている。
アップルが中国で実施したiPhone XRの値引きは、他の国でも始まるかもしれない。この記事を読んだ読者には、通信キャリアや小売店での販売価格の動きに注視することをお勧めしたい。