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2019.01.08

日本航空も出資の米「超音速旅客機」企業、1億ドルを新規調達

(photo courtesy of Boom Supersonic)


1億ドルでは「全く足りない」という現実

「メーカー側にとって、超音速旅客機向けのエンジン開発は大きな負担となる。新たなエンジンを一から製造するのは現実的ではない。戦闘機向けのエンジンを大型化させるなどのアプローチが想定できる」とAboulafiaは述べた。

かつて、コンコルドは100名乗りの超音速旅客機を運行していたが、満員にするのは難しかった。ブーム社が「55名乗りの機体」の実現を目指すのは合理的な選択といえるとAboulafiaは話す。

ただし、今後の課題となるのは、ブーム社がこの機体の販売にこぎ着けるまでに、あとどのくらいの資金が必要になるかだ。「シリコンバレーの投資家が、必要な投資額を正しく理解できているかは疑問だ。1億ドルの程度の資金では全く足りない。50億ドルぐらいを投じれば、もう少し実現に近づけるだろう」とAboulafiaは話した。

ブーム社のSchollは、機体の開発には60億ドル程度が必要だとフォーブスの取材に述べた。

今回調達した1億ドルの資金を用い、ブーム社は実機の3分の1のサイズの試作機を、今年の終わりまでに完成させ、テスト飛行を行う計画だ。その後、同社はさらなる資金を調達しようとしている。

CEOは元アマゾン社員

別のアナリストは、超音速旅客機の市場はプライベートジェット機市場より規模が小さいと見込む。しかし、同社の最初の顧客としては、米国空軍が想定できると話した。緊急時に可能な限り迅速に、人員を輸送する上で超音速旅客機は非常に有用なツールになる。

ブーム社のCEOのSchollは、2001年からアマゾンでソフトウェアエンジニアとして勤務した後、モバイルアプリ企業を立ち上げてグルーポンに売却していた。彼は2007年頃から、超音速旅客機の開発を思い描くようになったという。

「コンコルドが運行を停止した時に自分は20代前半で、超音速フライトを体験することは出来なかった。その後、アマゾンやテクノロジー系の企業で働くうちに、この世に不可能な事は無いと思うようになった」と彼は、フォーブスの以前の取材で述べていた。

Schollはアプリ企業を売却した資金を用い、2014年にブーム社を立ち上げた。新たに1億ドルを調達した今、彼は同社の今後に自信を深めている。「世界の人々の暮らしを変える新たな機体を現実のものにしたい。可能な限り多くの人に、超音速の旅を体験させたい」と彼は語った。

翻訳・編集=上田裕資

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