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銀行からシェアを奪うフィンテック企業

Bhattによると、ロビンフッドは2年前から当座預金口座の提供を検討していたという。米国経済がブルマーケット(強気相場)から転換期に差し掛かる中、株式の取引ボリュームは減少し、金利は上昇傾向にある。今後は、金利を生まない証券取引口座から当座預金口座に現金を移す消費者が増えることが予想され、ロビンフッドは絶好のタイミングで新サービスをリリースしたと言える。

Bhattによると、ロビンフッドは法外とも言える3%の金利を賄うため、顧客の預金を米国債などに投資するという。しかし、短期的には米国債の金利は3%を大きく下回るため、ロビンフッドのスプレッドは赤字となる。マイナス分の一部は、ユーザーが同社のデビットカードを使って決済をした際に、マーチャントが支払うインターチェンジフィーで賄われるが、それでもロビンフッドの収支はマイナスとなる。

金利を3%に設定した理由について、Bhattは「我々が長期的にビジネスを維持しながら支払える最大の金利に設定した。また、3%は消費者にとって覚えやすい値でもある」と述べ、すぐに引き下げる見世物的な金利ではないことを強調した。

コンサルタント会社Cornerstone Advisorsでディレクターを務めるRon Shevlinによると、多くのフィンテック企業がメガバンクからシェアを奪うことを楽観視しているという。

「多くのフィンテック企業は、メガバンクの顧客が現状のサービスに不満を抱いていると思っている。しかし、24歳で独身の若者の多くは、銀行などどこでも同じだと思っている」とShevlinは話す。実際、2017年に行われた調査では、ミレニアル世代の57%はメガバンクを利用し、デジタルファーストの銀行を利用しているのは1%に過ぎないという結果が示されている。

VCからの400億円で宣伝を強化

最近は流れが変わりつつあるが、今後どの位のスピードで変化するかは不明だ。Chimeは、200万口座を達成するのに4年を要したが、現在は毎月20万人の新規顧客を獲得している。サンフランシスコに本拠を置くスタートアップ「Empower」は、1%のキャッシュバックと2%の金利が付くデビットカードを9月に発表し、2万3000人がウェイトリストに名を連ねている。同社のCEO、Warren Hogarthは、18ヶ月で100万人のユーザーを獲得できると見込んでいる。

Hogarthは、比較対象として欧州の状況を挙げる。「欧州では、Monzo、Revolut、n26の3社が、スタートから2年半で合計400万の口座を開設した。このペースで成長を続ければ、2020年中に2000万口座を達成するだろう」とHogarthは話す。

フィンテック企業が、チェースやウェルズ・ファーゴのような巨大企業から大きなシェアを奪うのは容易ではない。競争環境が厳しさを増す中、今後ロビンフッドは広告宣伝の強化を迫られるが、その時には5月にVCから調達した3億6300万ドル(約400億円)が役に立つことだろう。

編集=上田裕資

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