なかでもフェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグは、一連のプライバシー問題によって厳しい立場に立たされ、1年間で187億ドル(約2兆円)もの資産を失うこととなった。
一方で、アマゾンのジェフ・ベゾスは、同社が空前の利益を報告し、株価の上昇によって279億ドル(約3兆円)も資産を増やした。ここでは2017年12月29日からの1年間で、最も資産を増やしたビリオネア5名と、最も資産を減らしたビリオネア5名を掲載する。
勝ち組
1.ジェフ・ベゾス
資産プラス額:279億ドル(約3兆円)
保有資産:1262億ドル
アマゾンは今年7〜9月期の決算で、過去最高額となる28億8300万ドル(約3200億円)の利益を報告した。同社はニューヨークでの第2本社設立を発表し、株価は今年9月に史上最高値をつけた。株価はその後、約4分の1下落したが、年初から30%の上昇となっている。
2. 柳井正
資産プラス額:70億ドル
保有資産:271億ドル
ユニクロの運営元のファーストリテイリングの株価は、売上の伸びを受けてここ1年で約3分の1の上昇となり、創業者の柳井正の資産額も大幅な伸びとなった。日本に本拠を置く同社は、2018年8月末までの1年間で、ユニクロの海外での売上が初めて国内を上回ったと発表した。
3. ヴァギト・アレクペロフ
資産プラス額:46億ドル
保有資産:195億ドル
ロシア第2位の産油会社ルクオイルは、石油とガスの価格上昇により2018年は大幅に利益を伸ばし、株価は1年で約29%の上昇となった。同社のヴァギト・アレクペロフCEOも大幅に資産を増やした。
4. ルパート・マードック
資産プラス額:46億ドル
保有資産:193億ドル
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やニューヨーク・ポストを運営するニューズ・コーポレーションの株価はここ1年で26%近い下落となったが、ルパート・マードックの資産の大半を占める21世紀フォックスの株価は42%の上昇となった。21世紀フォックスの株価の上昇は、2019年1月に完了するディズニーによる買収が確定したとの報道を受けてのものだった。
5. レオニード・ミケルソン
資産プラス額:40億ドル
保有資産:214億ドル
ロシア最大規模の民間天然ガス会社ノバテクの株価は、ロシア国内のガス価格の上昇や国際需要の高まりを受けて65%も上昇した。同社CEOのレオニード・ミケルソンは、発行株式の25%を保有している。
負け組
1. マーク・ザッカーバーグ
資産マイナス額:187億ドル(約2兆円)
保有資産:525億ドル
フェイスブックの株価は今年7月の第2四半期決算の発表後に19%下落し、ザッカーバーグは154億ドルの資産を喪失した。ケンブリッジアナリティカ問題の発覚を受けて、ザッカーバーグは4月に公聴会で議員らに厳しく追求された。11月にニューヨーク・タイムズ(NYT)は、フェイスブックが同社に対する政治的問題から注意をそらすため、共和党系コンサルタント会社を使い、ジョージ・ソロスに関する偽情報を拡散したとの記事を掲載した。ソロスはフェイスブックを厳しく批判していた。
2. アマンシオ・オルテガ
資産マイナス額:162億ドル
保有資産:596億ドル
アパレルチェーンZARAの運営元のインディテックスを、1975年に共同創業したのが、アマンシオ・オルテガだ。インディテックスの株価はZARAの利益率の低下や、今後の見通しの引き下げによりここ1年で大幅に下落した。
3. ゲオルグ・シェフラー
資産マイナス額:140億ドル
保有資産:124億ドル
ドイツの自動車部品の大手サプライヤーであるシェフラーと、コンチネンタルの大株主として知られるのがゲオルグ・シェフラーだ。この2社は、欧州と中国で売上不振にあえいでおり、今年11月には2018年の売上成長率が1%に満たないとアナウンスした。2017年の売上成長率は8.5%だった。2社の株価はここ1年で大きく下落した。
4. ポニー・マー
資産マイナス額:101億ドル
保有資産:351億ドル
中国のテンセントを率いるポニー・マーの資産額は101億ドル減少した。テンセントは中国政府から新規のゲームの認可が受けられず、株価は25%以上の下落となった。12月中旬には同社の傘下の音楽ストリーミング企業、テンセント・ミュージック・エンタテインメントがNY市場に上場した。
5. カルロス・スリム・ヘル
資産マイナス額:93億ドル
保有資産:568億ドル
2018年はドル高の影響が新興諸国の株価にダメージを与え、ラテンアメリカ諸国では通貨安となった。カルロス・スリム・ヘルがCEOを務めるメキシコ最大の通信企業、テルセルの株価はここ1年で19%の下落となった。