12月中旬の2日間にわたり、MPSはソーホーや、ピカデリーサーカス、レスター・スクエアで顔認証技術のテストを実施した。テスト主要な目的は暴力などの犯罪行為の監視だった。
今回のテストに先立って、MPSは街路のホスターなどで監視カメラの存在を知らせ、告知のビラも配布したという。また、「顔のスキャンを拒否しても、警察は確たる証拠がない限り、その人物を不審者とはみなさない」と宣言した。
今回の顔認証テストは、人々の顔を警察のデータベースと照合し、犯罪歴を持つ人物やテロ行為を行う者、さらには精神的障害を抱えた人を発見する目的で行われた。
当然ながら、人権団体からは抗議の声があがった。一部の活動家は「警官に尋ねたところ、『顔を布で覆った人物が歩いていたら、それを不審者とみなす』との回答を得た」と話している。人権団体は、警察が監視カメラの存在を十分に市民に知らせていないこと抗議している。
MPSは過去2年間で数回、同様の試みを実施したが市民団体の「Big Brother Watch」は、過去のテストにおける顔認証の精度が、全く役に立たないレベルだったと述べている。
「監視カメラは犯罪者よりもむしろ、善良な市民を苦しめることになる」とBig Brother Watchの代表者は述べた。警察は国民が納めた税金を、全く役に立たないテクノロジーに浪費しているというのが彼らの主張だ。
Big Brother Watchは英国政府の貴族院の議員とともに、政府を訴えようとしている。英国内務省は、これまで260万ポンド(約3億7000万円)を顔認証の実験に支出しており、今後の5ヶ月間で、新たに7カ所で実践を行う計画だという。
MPSで顔認証テクノロジーの戦略主任を務めるIvan Balhatchetは「我々は様々な立場の人々と、取り組みを進めており、このテクノロジーに反発する意見にも耳を傾けている。テストの運用の透明性を保ちつつ、建設的話し合いを進めるため、顔認証に対して様々な意見を持つ人々を、話し合いの場に招いている」と述べた。