巨大なサイの一種であるエラスモテリウムは、一角獣の伝説のもとになった生き物とされており、初期の人類が存在した頃、ユーラシア大陸の草原を歩いていたようだ。
エラスモテリウムは現代のサイと同様に、住む場所を選り好みする傾向があったようだ。変化への適応力が低いことが絶滅につながったと研究者は指摘している。
「現代のサイたちも単独行動を好み、生息地の中で孤立して暮らしている」とロンドン自然史博物館のエイドリアン・リスター(Adrian Lister)教授は声明で述べた。「エラスモテリウムが生きた場所は限定的なエリアで、かなり珍しい動物だった可能性が高い」
エラスモテリウムは体重が3.5トンにも成長し、頭部に1本の角が生えていた。しかし、恐ろしい外見とは裏腹に、草原を高速で走る草食動物だった。絶滅した時期はこれまで10万年前とされていたが、マンモスやサーベルタイガーなどの巨型動物と同じ時期に絶滅した可能性が、最新のDNA検査によって判明した。
「博物館で保管されていた複数の標本の年代を調べたところ、驚くことに4万年前よりも新しいものであることがと分かった」とリスターは述べた。
合計で23の標本の年代の特定にはロンドンやオランダ、ロシアの学者が関わった。「全ての標本が少なくとも3万9000年前のものだと確認でき、3万5000年前とみられるものもあった」
当時の地球では気候が大きく変動し、氷河期が終わって気温が上昇していた。これは個体数が少なく、特定の植物をエサとする動物にとって厳しい環境だった。植物が減ると同時に、人類の人口が急激に増えて狩猟も盛んになった。この結果、何百種類もの大型哺乳類が絶滅した。
現在、世界に存在するサイはわずか5種類だが、かつては250種類もいた。古代のサイがどのような運命をたどったのかを解明することで、多くのサイが絶滅した理由や、今後どのようにしてサイを保護すればいいかが分かるだろう。