孟はファーウェイ創業者の任正非の娘で、同社の副会長も兼務している。12月7日には保釈のための聴聞会が開かれる。ファーウェイは12月6日、声明を発表し、孟が米国政府からの要請を受けて、カナダの当局に身柄を拘束されていることを認めた。孟は米国に移送され、ニューヨークの裁判所の審理を受ける見込みだが、何の容疑であるかは不明だという。
「当社は本件に関し、ごく限られた情報しか提供されておらず、孟がいなかる不法行為を犯したとの認識もない」とファーウェイの広報は述べた。さらに「当社としては、カナダと米国の当局の判定を待つしかない。ファーウェイは米国およびEUの各地域での、各種の規制を全て順守してオペレーションを行っている」と続けた。
複数の報道によると、逮捕理由はファーウェイが米国の輸出規制に違反したためだという。ファーウェイの競合の中国のZTEも、イランや北朝鮮へ違法に通信機器を輸出し、虚偽の報告を繰り返していた件で、米国から制裁措置を受けた。
今年4月、米国商務省はZTEがイランに米国製品を違法に輸出したとして、米国企業との取引を禁じる制裁を科した。その後、ZTEの経営は急速に悪化し、米中首脳による話し合いの結果、ZTEは14億ドルの罰金の支払いと、役員の総入れ替えを条件に、この制裁を免れていた。
トランプと習近平の会談の当日に逮捕
孟が逮捕された12月1日は、中国の習近平とドナルド・トランプが、アルゼンチンのG20サミットで会談を行った当日だった。2名は今回の会談で、米中貿易戦争の「一時停戦」に合意したと伝えられていた。しかし、その後、米中の政府高官の間から、見解の食い違いが生じているとの声があがってた。
1987年に創立のファーウェイは、通信機器のプロバイダーとして世界最大の企業に成長し、スマートフォンの販売台数では世界2位の地位を確立した。同社の2017年の売上は925億ドル(約10兆円)で、前年から29%の伸びだった。ファーウェイの売上の半分以上は、中国国内からもたらされている。