アフリカはモバイル決済分野で、今最もホットな地域になろうとしている。M-Pesaは東アフリカで2850万人に利用されており、顧客らは世界200カ国のウエスタンユニオンの50万件のエージェントとの間で送金が可能になった。
2007年に携帯電話会社のサファリコムが立ち上げたM-Pesaは、ケニアから始まり東アフリカ全体を制覇。今では西アフリカでも勢力を広げている。ケニアで2300万人の利用者を抱えるM-Pesaは、2018年の6月までの3カ月間で5億8100万件のトランザクションを処理し、一日あたりの取扱高は1億6200万ドル(約183億円)に達していた(ケニア通信局のデータ)。
世界銀行によると、サブサハラ(サハラ砂漠より南)地域の成人のモバイル決済アカウントの所有率は、全体の約21%に達している。この数値は2014年から2倍に伸びている。GSMアソシエーションによると、サブサハラ地域での携帯電話の契約件数は2020年までに5億件に達するという。伝統的な金融サービスにアクセスできない人々が多い、この地域でモバイル決済は非常に重要な役割を果たすことになる。
M-Pesaは今年4月にPayPalとの連携を発表した。今後は2億5400万人に及ぶPayPalユーザーを相手に、M-Pesaの利用者がビジネスを行えるようになる。
M-Pesaは年間17億件のトランザクションを処理しており、決済額はケニアのGDPの50%以上となっている。「M-Pesaは世界で最も貧しい地域に暮らす、数千万人の人々の暮らしに革命をもたらした」と、元サファリコムCEOで現在はボーダフォンのモバイル決済部門長を務めるMichael Josephは述べた。
一方で、アフリカのモバイル決済分野では別の勢力も台頭している。M-Pesaの普及により、サービスを停止していたMTNの決済サービスMobile Moneyが、事業の再始動を発表したのだ。Mobile Moneyは2012年に南アフリカで始動したが、2016年に同国でのサービスを停止していた。
ただし、Mobile Moneyは南アフリカ以外の諸国ではサービスを継続しており、今年6月時点で14カ国で2410万人のアクティブユーザーを抱えている。