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2018.12.05 11:00

スタートアップにとって、TVCMが今なお重要なチャネルである理由

左:伊藤忠テクノロジーベンチャーズパートナー 河野 純一郎 右:ラクスル取締役CFO 永見 世央

仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」をビジョンに掲げるラクスルがTVCMの企画・制作・放映サービスを始めた。

スタートアップ企業にとって、TVCMとは一体どのようなインパクトがあるのか。伊藤忠テクノロジーベンチャーズの河野純一郎氏と、ラクスルの永見世央CFOが語る。


河野:一般的にスタートアップの資金調達後の使途は、マーケティング投資、人員採用費、開発費、事業運営費。中でも近年、マーケティング投資の比重が大きくなってきています。思えば2011年ごろ、1億を超えると「大型調達」と言われた。

それが13年ぐらいから5億、10億を獲得できるスタートアップが出てきて、TVCMが使われるようになった。ベンチャーキャピタルの資金が潤沢になり、本当に優秀な人材がリスクを取って起業するようになり、TVCMを打つガソリンが供給されるようになりました。

永見:我々は14年2月に15.5億円を調達し、その一部を使ってTVCMで成長投資を始めました。伊藤忠テクノロジーベンチャーズをはじめ、理解してくれる投資家の存在がいたから成り立った。マーケティングとファイナンスって常に表裏一体で、我々はうまく連動できたかなと思います。

河野:TVCMを打ちますと言われ、最初はかなり懸念がありました。効果測定や、高速にPDCAを回すのが難しい。ただ、蓋を開けてみたら突破力、飛び道具としてのTVCMは本当に有効だったと思いますね。

永見:テレビは今もメディアパワーとして非常に強い。TVCMって皆さん見てるんですよね。我々はTVCM投資でも、常に投資家に共有しながらPDCAを高速で回し、顧客あたりの獲得コストと収益性のバランスを徹底して改善してきました。拡張フェーズにおいてはTVCMは重要な顧客獲得チャネルと考えています。

河野:経営的な視点として全体戦略とマーケティング戦略を整合させられているかが成否を分けますね。もっと言うと、CMを打つ大前提として、プロダクトがマーケットフィットしていることが大事。ラクスルは、一度使った顧客がかなりの確度で使い続けるのがわかっていた。あとは新規ユーザーを獲得すれば自動的に成長することが見えていたんです。だから奏功した。
 
TVCM 事業は、私自身この事業単体に投資したいぐらいのサービスだと思いました。ラクスルの思想、シナリオと合致している。実際に利用した経営者も絶賛し、今後も使っていきたいと話していました。

永見:手応えは非常にありますね。


河野 純一郎◎伊藤忠テクノロジーベンチャーズパートナー。2002年、ジャフコに入社、日本国内のスタートアップへの投資業務に従事。08年4月、伊藤忠テクノロジーベンチャーズに入社、現在に至る。主な投資先は、クラウドワークス、Fringe81、メルカリ、ラクスル、Retty、フロムスクラッチ、LeapMind、スマートキャンプ、ヤプリ、ミラティブ、助太刀、カケハシ等。

永見 世央◎ラクスル取締役CFO。2004年、慶應義塾大学総合政策学部卒。みずほ証券でM&Aアドバイザリー業務に従事。06〜13年、米カーライル・グループに所属、バイアウト投資と投資先の経営及び事業運営に関与。ディー・エヌ・エーを経て14年4月にラクスルに参画。同年10月に取締役CFO就任。ペンシルバニア大学ウォートンスクールにてMBA取得。


使ってみたからわかる革新性、クライアントも絶賛

ラクスルのTVCMサービスの本質は、実際に活用したクライアントが一番よく知っている。果たして、いかほどの効果があったのだろうか。2社に話を聞いた。

クライアントサイドに立った、緻密な提案に信頼感
エボラブルアジア


「今なら東京→札幌 片道¥5,260〜(税込)」などと取り扱い航空券の圧倒的な安さを強調し、「エアトリは航空券インターネット売上No.1」をアピールした。


総合旅行プラットフォーム「エアトリ」を運営するエボラブルアジアは、今年4月にラクスルにTVCMを発注した。

「One Asia」を掲げ、アジアを繋ぐ架け橋となることを目指し高成長を続けるエボラブルアジア。過去TVCMを実施した実績があったが、今回は複数社で相見積もりを取り、ラクスルに発注。関東を中心に5月に短期間放映し、6月から継続して放映している。
 
ラクスルが提案したのは、シンプルでポイントを絞った、視聴者にとってわかりやすいクリエイティブだった。放映して2カ月で、トップページへのアクセス数が72%アップした。ブランド認知が格段に上がったという手応えを得たという。
 
エボラブルアジアの王伸取締役COOは、「広告主として、クライアントサイドに立ったコンサルティングをしてくれるかどうかが非常に重要だと感じた」と語る。
 
バイイングにおいては、「ラクスルが自社で実施したデータに基づいたバイイング戦略を提案してくれて、明確な経営判断ができた」と振り返る。
 
企画制作にあたっても、「クライアントに寄り添ったスムーズなレスポンスで進めやすく、信頼感があった。制作費が安いのも非常に良かった」と絶賛している。

「スモールスタートで、認知向上を実感」
ルームクリップ


「この間取りだと、この棚どこに置いたらいいかな」「だったらルームクリップが参考になるよ」と利用シーンを想定し、サービスをわかりやすく紹介。


日本最大のインテリア実例共有サイト「ルームクリップ」は共通の株主からの紹介を受け、今年3月にラクスルにTVCMの企画制作放映を依頼した。4月に制作を開始し、6月に放映開始。新潟県と広島県に投下した。

「まずスピードが圧倒的。我々が検証したいことに合わせて、ラフの段階で高速にブラッシュアップしてくれた。『これでいこう』と決定し放映するまでのスピード感は、ベンチャー企業のプロトコルを理解しているからなせる業」と振り返るのは、ルームクリップの髙重正彦代表取締役だ。

月間ユーザー数300万人、実例写真枚数300万枚、月間PV3億超の実績を生かし、クリエイティブは利用シーンを想起させる内容に。「奇をてらわず『CMってこうだよね』ということに縛られることなく、我々の目的に沿った内容になった」。
 
新潟と広島でA/Bテストを実施したが、実際に効果測定したところ、いずれもルームクリップの認知度が一気に数倍にアップしたという結果が出た。

「TVCMを全国で本格的に実施するには数億円の大きなチャレンジになるが、その前にスモールスタートできたため、テストとして大きな意味があった」と髙重代表。「判断材料が手に入る実直な一手。良いソリューションだと思います」

前編はこちら

初めてのテレビCMならラクスル
https://tvcm.raksul.com/

Promoted by ラクスル / text by Aki Hayashi / photographs by Yusuke Nishimura

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