「オリンピックは人生を変えた。けれども、今でも自分は役立たずだと思ったりする。以前よりは、少しましな服を着るようになったけれど」
五輪選手の大半は閉会式が終われば世間から忘れ去られてしまうものだ。しかし、2019年のフォーブスの「30アンダー30」に選ばれた彼は、その後も名声を保ち続けている。リッポンは五輪の開会式で、かつて同性愛の矯正セラピーに資金を提供したペンス副大統領がアメリカ選手団を率いていることに異議を唱えた。
五輪選手として活躍した後も、彼は性的マイノリティの声を代弁する役割を担っている。リッポンはトランプ大統領が、反同性愛者的スタンスで知られるブレット・カバノーを、連邦最高裁判事に指名した際にも反発の声をあげるなど、彼の政治的主張を貫く姿勢をみせている。
ソーシャルメディアでは皮肉混じりに日常の出来事を綴りつつ、LGBTQやジェンダーの多様性について情報発信を続けている。ツイッターで53万人以上のフォロワーを持つ彼は、トークショーの司会も務め、今後は自身のエンターテインメント企業を立ち上げる計画だ。
「過去20年ほどの間はたくさんの夢があったが、一つのゴールに向かって突き進んできた。今はアスリートとしてのメンタリティを保ったまま、夢の実現に取り組んでいこうとしている」とリッポンは話した。