キャリア・教育

2018.11.18 12:30

PRマネージャーと映画監督 異色の兼業はなぜ実現できたのか?

ケイト・スペード ジャパンPRマネージャー 穐山茉由


そして、社長から一本のメールが全社員に送られる。
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Kate Spade Japan(KSJ)の皆様

KSJ marketing teamより素晴らしいニュースがあり、本日メールをさせていただきます。この度、KSJ PRの穐山さんが初めて撮られた長編映画「月極オトコトモダチ」が東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で選出され、今月末から六本木ヒルズなどで行われる東京国際映画で上映されることが決まりました!

この数年間一生懸命映画を学んできた穐山さんの長編作品が選出されたこと心から嬉しいです。穐山さんは監督として、映画祭に参加され、もちろんKSNYでセレブリティーと共にレッドカーペットを歩かれる予定です。
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本当に本当におめでとうございます! 穐山さんに大きな拍手を! アッキーおめでとう!


社長はこのメールを英語バージョンにして、本国チームにも送り、日本支社の社員の偉業を伝えた。そして、10月25日、第31回東京国際映画祭のオープニングイベントを迎える。


左から、穐山茉由、野崎智子、芦那すみれ、徳永えり、入江陽、山田佳奈、三森麻美(提供:穐山茉由)

「レッドカーペットに出た時とTOHOシネマズ六本木で映画が流れた時、皆も実感してもらえたので、今までで一番喜んでくれました」

残念ながら今回賞を獲得することはできなかったが、映画は「ムージック・ラボ」の一環として11月18日から新宿 K’s シネマやUPLINK 渋谷で一般公開される。


『月極オトコトモダチ』は「男女の友情は成立するのか?」という永遠のテーマに「レンタル友達」という現代的な要素を加えたラブストーリー。

二刀流で、仕事の効率も上がった

2017年に米国Kate Spade LLCの100%子会社となったケイト・スペード ジャパンは、本国・日本支社ともに「Heroines of our own stories(私たちはみんな人生のヒロイン)」というキーワードを掲げている。

仕事以外の時間も有意義に使う施策としてフレックス制度を採用しており、コアタイムの11時〜16時は出社している必要があるが、1カ月の合計勤務(平日勤務日数×8時間)をクリアすれば前後の時間は個人の自由。一部期間には、金曜日のコアタイムを9時〜13時にして早期退社を促す「サマーアワー」制度などを導入している。

「フレックス制度は映画を作る上でとても活用しました。それでも撮影準備やポスト・プロダクション(撮影後の作業)は、物理的に時間が足りなかったです(苦笑)。全く寝ないことはなかったですが……3時間睡眠の日もザラでした(笑)」

日によって時間の使い方は異なるが、基本的に映画の為の時間(打ち合わせ、脚本、編集)に充てている。



PRマネージャーと映画監督の二刀流はハードに違いないが、彼女はそれをこなしていく中で「会社での働き方にも変化が起きて、全体的に効率・能率が上がった」という。

「自分が休んでいる時に発生する仕事を予想して前倒しでやったり、昔は期限が迫るまで後回しにしていたことも直ぐにリアクションしていくようになりました。一番変わったのは、仕事を断る勇気が身に付いたこと。それまでは『自分でどうにかしないといけない』と抱え込んでいましたが、人に任せることを覚えました。また、映画製作においては組織作りの重要性のほか、シナリオや演出なども会社員経験がいきたと思います」
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文=砂押貴久

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