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2018.11.04 10:00

五輪金メダリストも参加する米「ホームレス支援団体」の活動

女子体操金メダリストのアリー・レイズマン(Photo by Ben Gabbe/Getty Images for Leesa Sleep)

「お金儲け以上の目的を持って事業を起こせば、人々は皆あなたに注目する。企業には、自社の利益以上のことを考える責任がある」

マットレス製造・販売のスタートアップ「リーサ・スリープ(Leesa Sleep)」のデイヴィッド・ウルフCEOはそう語る。社会により良い影響を与える企業としてB Corp認証(非営利団体のB Labが運営する認証制度)を受けている同社は、2014年の創業以来、マットレスが10台売れるごとに1台を非営利団体に寄付してきた。その総数は3万台以上に及ぶ。

世界ホームレスデーの10月10日、リーサ・スリープはその日売れた数と同數のマットレス70台をバワリー・ミッションに寄付した。バワリー・ミッションはニューヨークで9カ所のホームレスシェルターなどを運営する慈善団体で、リーサ・スリープとは3年前からパートナーシップを結んでいる。

当日のマットレスの配達と開封は、女子体操金メダリストのアリー・レイズマンによって行われた。「アメリカ国内だけでも約50万人がホームレス状態であることに衝撃を受けている。その事実を広めることはとても重要。今日だけでなく、これからも私たちはホームレス問題について語り合い、経験者の声に耳を傾けていく必要がある」とレイズマンは話した。

2010年に制定された世界ホームレスデーは、国や地域などさまざまなレベルでホームレス問題の認識を高め、ホームレスの人々を支援する取組だ。米国のホームレスで最も多いのは単身の成人で、家族連れも33%存在する。

昨年、バワリー・ミッションは65万3000食、16万7300の寝床、4万6400点の衣服を必要としている人々に提供した。同団体は1870年代から活動を続けており、現在その施設は約400人を収容する。だが、リーサ・スリープのような企業の協力なしには活動を広げることが難しいという。

「私たちの活動は(恵まれない人々の)尊厳を取り戻すこと。つまり人々に『あなたは大切な存在だ』と言うことだ」と、バワリー・ミッションのジェームズ・ワイナンズは言う。「その活動を行う上で、マットレスの寄付はとても大きな役割を果たしている」

「リーサの素晴らしい活動には大いに触発される」とレイズマンも言う。「私たち一人ひとりにも変化を起こす力があるのだと気づかされる」

今回のプロジェクトには、インテリアショップのウェスト・エルムも参加し、枕とシーツを寄付した。リーサ・スリープは昨年、自社オンラインショップでの販売に加えて、ウェスト・エルムでの販売を開始。昨年は1億5000万ドル(約169億円)以上の売上があったと報じられた。

「3年前にリーサを立ち上げた時、私たちはお金以外の目的を自覚していた。会社を大きくしたい起業家が、商品をより多く売るためにチャリティを行うのは間違っている」とウルフCEOは言う。「よりたくさん寄付するために、より多くの商品を売ろうとするべきだ」

編集=海田恭子

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