「トランプが好き」というのは言いすぎかもしれない。それでも中国人たちはトランプと彼独特の愛国主義を理解しているようにみえる。また、報道されるトランプの粗野な発言が好きだ。
中国版ツイッターのウェイボー(微博)では、最も人気がある外国人はトランプだ。中国圏で人気の小説家、金庸(きんよう)が死去した10月30日、中国のソーシャルネットワークはその話題であふれた。それでもトランプは、同日の「ホットトピック」で15位に入った。中国以外の話題で最も多くシェアされたのは、貿易や移民政策に関するトランプの発言だった。
中国への態度は「不当」?
だが、中国によれば、米国は貿易を経済戦争に利用している。そして、米国の行動は一方的だ。中国は世界貿易機関(WTO)を通じて問題を解決したい意向だが、トランプはWTOについて、「豊富で安価な労働力と十分に整備されていない中国の規制を利用してきた同国や、国際企業に有利な判断を示してきた」と考えている。
米国の対中赤字はいまも減っていない。抜け目のない中国の輸出業者は、品目分類コードを偽り、制裁対象の製品を米国に輸出しているという。別の品目であると偽り、制裁関税を回避しているのだ。
また、関係筋によれば、ベトナム産として米国に輸出されている鉄鋼製品の中には、中国産が含まれているという。さらに、これらとは別の関税回避策を取っている企業もある。
戦争ではなく「摩擦」?
中国の市民は、「米国と貿易戦争をしているのではない」「これは貿易摩擦だ」と主張する。
米国が抱える貿易赤字は、トランプがこれまでに中国を攻撃してきた主な理由の一つだ。一方、中国はトランプが貿易赤字に関して誤解を招いていると主張する。中国の対米サービス貿易赤字は拡大しているという。ただし、昨年のサービス貿易での米国の対中黒字はおよそ402億ドル(約4兆5450億円)。モノの貿易で米国が中国に対して抱える3700億ドルの赤字と比べれば、比べ物にならないほどの差だ。
米中貿易全国委員会は何年も前から米国政府に対し、中国との二国間貿易協定に署名するよう訴えてきた。“最良の筋書き”は、トランプが最終的にそうした協定の締結を望むことだ。