投資家の関心は、アマゾンの第3四半期(7~9月)の利益が予想を上回ったこと以上に、電子商取引部門の売上高が予想に届かなかったことや、ホリデーシーズンと重なる第4四半期の売上高と利益の見通しが、市場にとっては期待外れだったことに向けられた。
同社の今後に関する懸念は、決算説明会に出席したアナリストらの質問にも表れていた。質問が集中したのは、以下の点だ。
・国内外での成長の鈍化は何に原因があるのか
・米国での最低賃金の時給15ドル(約1690円)への引き上げはどの程度の影響を及ぼすのか
・ウォルマートやターゲットなど実店舗を中心に事業を展開する小売各社が電子商取引事業を強化し、店舗網を活用したデリバリー・サービスなどを拡充するなか、アマゾンの「オムニチャネル戦略」は今後、どのようなものになるのか
ただし、成長の鈍化への懸念がある一方、アマゾンは依然として、電子商取引部門においては競合他社を圧倒している。
調査会社ユーロモニターのデータによると、米国の電子商取引市場におけるウォルマートのシェアは2012年の2.9%から2017年には4.3%となったものの、アマゾンのシェアは同じ期間に、24%から46%に拡大している。
さらに、市場調査会社ヒットワイズによれば、今年8月末までの1年間のアマゾンのウェブサイトへのビジット数は、ウォルマートの4倍以上だった。
アマゾンについて、直近の決算結果から読み取るべき重要なポイントは、以下の3つだ。
・「コスト管理」の徹底ぶりが成熟企業並みに
アマゾンのブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は、「コスト管理の改善」が業績の延びに大きく貢献したと述べている。多くの分野で、コストパフォーマンスが大幅に向上しているという。
例えば、従業員数は今年1~9月の間に13%増えたが、過去2年は少なくとも年間38%の増加となっていたことに比べれば、伸び率は大幅に低下している。
フルフィルメントセンター(配送センター)の面積は、過去2年に比べて半分ほどの増加率に縮小。また、これらの施設で利用しているロボットは、高い「資本収益率」を記録している。
同期の配送費は世界全体で22%増の約66億ドルとなったが、増加のペースは少なくとも過去6四半期で最も緩やかだった。