リーダーの「燃え尽き」問題 会社ができる防止策は?

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企業のリーダーが、自己崩壊しつつあるように見えるときは心配だ。上級職には高い要求と期待が寄せられるため、プレッシャーが意思決定や自信、仕事をこなす能力に影響することもある。その人が会社の所有者でもある場合、負荷は増すばかりだ。

最近の例では、テスラのイーロン・マスクCEOがソーシャルメディアでとっぴな投稿を行い、懸念を広げた。マスクは8月7日、テスラを非公開企業化することを考えているとツイート。また、米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで平静をうまく保てず、週120時間労働を何週間もこなしたストレスや、弟の結婚式を逃しかけたこと、誕生日もノンストップで働き続けたことを語った。テスラ株の非公開化は後に撤回され、テスラとマスクは連邦証券法違反で訴えられた。

私も自分の会社を持っていて、マスクの件が起きてからすぐ、この記事を書きたいと思った。編集者から、この話題を検討することを提案されたとき、私はマウイ島行きの飛行機に乗っていた。2年半ぶりの旅行だったので、戻ったらぜひそうした記事を書きたいと彼女に説明した。

燃え尽きていたわけではないものの、私は経営者として成長中の事業の運営と、母親としてわんぱくな2歳半の子どもの子育て、大切な人々との関係維持を同時にこなすことの影響をひしひしと感じていた。

燃え尽きは慢性的にストレスを感じる過程であり、3つの大きな特徴がある。それは身体・感情的な疲労、懐疑的な気持ち、そして無力感だ。仕事での燃え尽きを劇的に減少させるため、企業は次の3つに注力すべきだ。

1. 仕事のコントロール

従業員は、仕事においてプロとしての自主性と独立性を強く望んでいて、それが持てない場合は深刻な影響が出る。組織行動ジャーナル(Journal of Organizational Behavior)に掲載された論文(1990年)からは、仕事で求められることが多い一方、仕事を自分でコントロールする権限をあまり持たない人は、心臓病と鬱になる確率がはるかに高いことが分かっている。

従業員の仕事コントロール権を高めるには、(1)プロジェクトが発表された時点でその理論的根拠を示すこと、(2)職場・職場外を含め仕事をする場所の選択肢を従業員に与えること、そして(3)タスクを遂行する方法や時期について柔軟性を持たせることができる。ロチェスター大学とフォーダム大学のチームによる研究では、自律性のある環境を持つ企業は従業員をコントロールしがちな企業に比べ成長率が4倍、離職率は3分の1であることが分かっている。
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編集=遠藤宗生

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